火星の月の下で

日記がわり。

輸出するの?

昨今まれにみる「つまらないアニメ」種デス。以前にも書いたけど、優秀なアニパロ作品が量産されるので、やむなく見ていたが、先週の第46話は久しぶりに面白かった。
ラクスが真ラクスをおびきだすときの手紙なんだけど、そこに不思議言語が。(笑)

>Meer
すごいね、これ。中学生レベルの英語、というか、予備知識なしに見せられたら、いまどきの学生はこの程度の英語力なのか、って言ってしまいそう。たしか今でも、be going to +原形不定詞っていうのは、中学英語の範囲だよね? 原形の部分が受身になる、be going to be + 過去分詞っていうのは、高校の方に移されてるみたいだけど。
いくつか好意的な解釈をしておくと、単に美術だか原画だかが、[to be killed]と書くべきところのbeをとばしたか書き忘れてしまったか、あるいは、未来の話なので多少今とは言語が崩れているかもしれない、ということで意図的にはしょったか、まぁ、その辺が考えられるかな。
まず後者の方から検討してみると、killのような、常態で附加語を必要とする、いわゆる他動詞において、受動相を示す「be + 過去分詞」のbeの部分が省略される時代が来る、っていうのは、かなり考えにくい。ありそうな形は、むしろ、前の「Be going」もしくは「going to」の方で、こちらなら既に口語レベルで「gonna」等のように、更なる短縮や別綴になってたりもするからね。こっちの方は、その由来が感覚の上で、かなり希薄になってきているので。
しかし、受動相のbeがまるごとなくなってしまう、っていうのは、まぁ、未来ならありえなくはないけど、普通の言語感覚としては、かなーりの無理がある。
ではもうひとつの可能性、書き忘れ。
これなら、たとえばソフト化の際に訂正が入ると思うので、そこでわかると思うのだが、たとえそうだったとしても、変な感じは拭いきれない。
その後、日本語で「助けて、殺される」なんて訳されてるから、そのニュアンスを出したかったのだと思うけど、ご存知のように「be going to」は純然たる未来、というより、予定とか意図とか計画、っていうニュアンスの方が強い。つまり、I'm going to be killed.だったとして、「殺される予定になっている」「殺されることが計画されている」というニュアンスで、まぁたしかに、間違っているわけじゃないけど、いますぐ助けて、っていう緊迫感からはちょっと遠い。
こういうときは、普通に現在形でやった方が切羽詰った感じがでます。そもそも英語時制には厳密な意味での未来時制っていうのは存在しませんからね。*1
あと、英語である、ということを踏まえると、LacusとかMeerとかっていう綴りも妙な感じを受けますね。まぁ、固有名詞はどう呼んでもかまわない、ていうところが英語にはあるので、間違いってことはないけど、二綴語の後ろの母音に子音にはさまれた「u」が来て「ウ」という発音、ていうのは、ちょっとひっかかるものがある。普通に読むと、「ラカス」とか「ラーキュス」になるんじゃないか。
ラクス・クラインという名前については、上に書いた理由で今まであんまりまじめに見てなかったので、綴りが出たことがあったかどうか覚えてないのだが、クラインというのはゲルマン系の「Klein」が想起されるわけなんで、(だいたいこの手の美形には独・北欧系があてられることが多いので、この判断もそうはずれてはいない、と思うのだが)ラクスという発音に「Lacus」という綴字があてられている、っていうのには、違和感があるんだよなぁ。じゃあどういう綴りになるか。私なら、「Lachs」「Lacks」あたりにしてると思う。つまり、単綴だろう、と思うわけ。もっとも、名前の方はそのときどきの流行によって外国語っぽいのがつけられるっていうのは、日本だけでなく、ほぼ全世界の共通だから、これでも問題があるわけじゃないんだけどね。
話も相変わらず変な話だったけど、つっこむのはもうぱかばかしくてやめてるので、もう書かない。ただ今回は、この不思議言語のおかげで、ちょっとだけ面白かった。

*1:ここでいう厳密な意味で、といっているのは、動詞単体での変化で表現できる時制は過去と現在だけ、という意味。助動詞willやshallを用いるのも、意味論的には未来時制としてもいいけど、言語的なには未来時制、とは少し言いかねるところがある。