火星の月の下で

日記がわり。

▽ある追悼記事によせて

悼む:「あゝモンテンルパの夜は更けて」作曲、伊藤正康さん=6月11日死去・86歳

BC級戦犯として死刑判決を受け、フィリピンのモンテンルパの刑務所で死と向き合った伊藤さんは「あゝモンテンルパの夜は更けて」の作曲者だ。世に出したのはこの1曲だけ。

『あゝモンテンルパの夜は更けて』の曲自体は知っていたし、この曲が比島における邦人捕虜・戦犯の特赦につながった、ということくらいまでは知ってたが、作詞者、作曲者についての詳しいことは、浅学にして知らなかった。
素人による作詞作曲で、ここまでのものが作れる、というあたりの日本人の感性、音楽教育、そういったことにも少し想いがいったが、ここに書かれてあるエピソードの方が胸をうたれる。
戦犯特赦、ということもさることながら、特に感銘を受けたのは、次の一文。

葬儀では、参列者全員がモンテンルパの歌を歌った。その時ふと伊藤さんにかけられた言葉を思い出した。「歌なんか後世に残らなくてもいい。それよりこの国をしっかり支えてくれよ」

毎日の記者こそ、このことをしっかり胸に刻んでほしいと思う。