火星の月の下で

日記がわり。

○こども目線の声優志望

声優・大塚明夫さんが激白「売れたのは100%父のコネ。専門学校や養成所に行っても売れない」
引用文中にはコネの部分がないけど、たぶん元の書籍の方にあるのだろう。
そしてたぶんそれは謙遜でもイヤミでもあてこすりでもなく事実だろうと思う。
しかしいい表現があって、

30年近く声優として活動している大塚に言わせると、いまの声優業界は「三百脚の椅子を、常に一万人以上の人間が奪い合っている状態」なのだという。

ここなんか特に良い。
普通の頭で考えたら、アニメに出ている声優の総数がどれくらいで、声優学校がどれくらいあって、その一学年が何人か、という数を追っていけば、とてつもなく狭い門だ、というのは想像できそうなものなのだが、進路を決定する十代半ばくらいの頃だと「専門学校だから専門技術を教えてもらえる、だとしたらただ漠然となりたいと思っている人間よりは有利で・・・」とか思ってしまっても無理はない。
マンガとかアニメとかどうも敷居が低く見られがちで「大嫌いな受験勉強するより好きなことに一生懸命になってみたい」なんて志望を美化してキラキラしちゃうんだろうなぁ。
で、漫画家は絵の才能が必要だ、というのは漠然とでもわかるので、声優なら「キャラになりきったりするだけでできちゃう」みたいな気持ちになってしまうのだろうか。
エンタメ関連の宿命かとは思うけど、楽しい(ように見える)職業は簡単になれる、みたいな壮大な誤解があるのではないか。
エンタメであれ、高学歴が必要な仕事であれ、事務であれドカチンであれ、ひとさまから金を頂く仕事というのは、それなりに厳しいし、それなりに辛い準備もいる。(高学歴職業なら学歴を得るための勉強とかね)
「好きを好きであきらめない」と言うのはどこかのエンタメ系専門学校のうたい文句だけど、実際はその宣伝に出ている成功者の後ろに、何百何千という「あきらめなかったし精一杯努力もしたけどなれなかった」という人間がいることを忘れてはいけないし、おとなの側も注意を喚起するべきだろう。
その意味で、この大塚さんのような書籍はもっと出てくるべきだと思うし、そういう苦言を呈する人間を煙たがったり軽くみたりしてはいけないのではなかろうか。
声優系ならちょっとしたおとなならわかると思うのだけど、それ以上に病巣が深いのがゲーム系だと思うので、その辺の暴露、警告なんかももっとでてきてほしいものでありますな。