火星の月の下で

日記がわり。

おゆき

NHK衛星第2「日本の歌」なる番組で内藤先生が出ていたので、鑑賞。
先週放映したらしいのだが、見落としてしまってたので、今日視聴。
いまや演歌の大御所となった弦哲也の作曲家転向第1作だった、というのは知りませんでした。
その内藤先生、棋士としてではなく、歌手としての出演でしたので、弦さんもアナウンサーの人も「内藤さん」と言ってました。なんか妙な感じ。
我々が話題にするときはたいてい、「内藤先生」か「内藤九段」なので、ああ、歌手として出演されてるのだなぁ、と改めて思ったり。
昭和51年ですか、この曲。
そして、現在内藤國雄・66歳。
いやぁ、声が良い。声量がある。
さすがに30年前と比べると衰えは感じますが、60代の声じゃない。
普通に感動してしまった。。。
演歌は特に好きではないし(嫌いというほどでもないけど)そんなに知ってるわけでもないんだが、この曲だけは、私の脳内では別格です。
アニソン、特ソン以外では最も好きな歌の一つかもしれない。
曲、というより、歌っているのが内藤國雄だから、というのも、すごくあるけど。
やっぱりそこに、一代の天才棋士・内藤國雄、という人の人生を重ねてみとしまうからなのかもしれない。
たぶん、棋才に関して言えば、升田とともに最高峰に位置する人だと思う。
にも関わらず、結局天下をとれなかったのは、勝負に淡白だったため。
棋譜を並べてみると、その才気はいたるところに感じるし、あの一世を風靡した「空中戦法」だけでなく、世代のはるか下の棋士と戦うようになってからのひねり飛車や、ほとんど内藤流と言ってもいい独特の向かい飛車、斬新な角代わり等、単に新しいばかりでなく、美意識がそこにある。
棋譜を並べて、勝局のみならず敗局においてさえ「芸」を感じる棋士なんてそうそういるもんじゃない。
内藤九段は素人芸として歌がうまい、というのではなく、まだ3段リーグのなかったはるか昔、奨励会卒業を決めて4段になったころ、昇段時期のタイミングが悪くて少し時間ができてしまった、その時に歌謡学校に通って歌手の勉強をしていたことがある、という経歴でもあるので、うまいのは当然なのだ。
特にその高音ののびは今でも美しく耳に快い。
有吉や中原、米長らと競い合っていた頃を思い出し、グッと胸に来るものがあった。
この「おゆき」、たぶん名前だけだとは思うのだけど、「うる星やつら」のお雪にも拝借されているのはかなり有名な話で(ちょうどラムが、当時の人気グラビアアイドル・アグネス・ラムからとられたのと同じように)昭和50年代前半のマンガ事情なども脳裏を駆け巡ってしまった。
まぁ、うる星のお雪ちゃんは、外見の古風さは似てるけど、中身はまるっきり別物ですけどね。