火星の月の下で

日記がわり。

終日ショップ巡り

いろいろとショップを巡ってきて、店主や常連さんとかと話をしたんだけど、今夏の南西諸島での取り締まりの開始は、かなりの脅威でもって迎えられているみたいで、駆け込み需要が増えているという。
例によって個別の種類を書くと検索に拾われたりするので極力書かないようにするが、なんだかなぁ、と思うことがけっこうあったので、記録しておく。
南西諸島といっても、相当に長大な地域を含むので、普通は奄美諸島沖縄諸島までと、宮古諸島から八重山諸島までをわけて考える。
実際に宮古島沖縄本島の間は少し離れていて、生物相も若干違い、九州南端と奄美との間、そして沖縄と宮古島の間に生物ラインをひく考え方もある。
有名なインドネシアのウォーレスラインほど明確かつ深い断絶があるわけではないが、相当に生物相が違う。
奄美から北が国後島、もしくは択捉島までほぼ一体の生物相*1であることを思うと、この地域の広さ、多様性がわかろうってもんである。
私は昭和30年代から青大将を飼い始め、身近な小型蜥蜴や小型守宮なんかを飼育繁殖をさせてきた。
その後、外国産のものも飼育してきたし、南西諸島には魅力的な種が多いので飼育したり繁殖させたりもしてきたが、種の絶滅を招く、といわれれば、それは自重しようと思っていたし、現に、危険な有毒種、絶滅危惧種なんかには手を出さないように心がけてきたつもりだ。*2
魅力的な種がいる、と言うと、飼育したくなるのがブリーダーの常であるが、それが希少種だとわかればやはり二の足を踏むし、図鑑で見て楽しむだけにしよう、という気持ちにはなってくるものだ。
ところが世間にはそうでない人種がけっこういて、希少種、禁止種となるととたんに食指がのびるタイプもかなりいる。残念なことに、爬虫類、両生類の愛好家にその傾向が強いように思う。
今回もシッョプで聞いた話として、「とりこ(採集業者)が1日に何度も職質された」というのがあった。取締りの直前ということで、相当数のとりこが島へわたっているようである。
こういう話を聞くとつらくなってくるね。
美しい種、飼育したい種がたまたま指定種だった、というのはわからなくもないけど、希少種だから、レアだから欲しい、飼いたい、というのは、学術研究の場合を除いて賛同しかねるものがある。
爬虫類を飼育したい、というのも、爬虫類が好きだ、ということがあってのこと、だと思うんだけどなぁ。
その大好きな爬虫類が、自分たちが採集、飼育することで絶滅においこまれる、と聞けば、「欲しい」という気持ちにブレーキがかかるものだと思うんだけど、最近の若い飼育者にはそうでない人が多いらしい。
結局、こういう希少種をレアだから、という理由で追い求める人というのは、我々の敵なんだろう。
以前、毒蛇を大量に飼っててつかまった関東のバカがいたが、あれなんかが我々の敵だ、というのはわかりやすかったんだが、こういうレアものを希求する心、というのも、我々の敵なのかもしれない、ということは肝に命じていた方がいいのかもなぁ、と思ってしまったのであった。

*1:実際には北海道東部あたりで少し生物相が変わってくるが、これは気温の差によるところが大きく、南西諸島ほどの差にはなっていない。

*2:若干言い訳になるけど、飼育していた種が、その後CITESに指定されてしまった、というケースはいくつかある。その場合も継続はしなかったが。