火星の月の下で

日記がわり。

竜王戦第3局での一コマ

初代永世竜王渡辺明に森内九段が挑んだ第22期竜王戦・第3局。
後手番・渡辺が、自陣を飛角の利きだけで守る裸玉同然にされながら、終盤に見事な構想で攻めきって、3連勝。
初日からものすごいスピードで進展し、両者研究範囲の戦い、さながら研究の深さを競い合うがごとき対決となって、第2日目、見事に渡辺竜王が寄せきったわけだが、読売のウェブで実況を見ていたら、終盤、竜王の技が決まったところで、面白いやりとりがあった。
この第3局、京都・東本願寺渉成園で行われ、近畿圏ということもあり、立会人が谷川九段、解説に山崎七段、NHKの中継解説が阿部八段、という関西勢、そして自宅ウェブ解説に、大野八一雄七段、安用寺孝功六段、遠山雄亮四段、という東西の面々。
問題の96手目、まさかの決め技、7九銀が飛び出し、解説・控え室から驚嘆の声。

「ふえー?」(山崎七段)
「△7九銀!」(阿部八段)
「…(無言のままモニターを見つめる。そして咳払い)」(谷川九段)
「これは勝ちましたという手ですよ。見えなかったなー」(山崎七段)

臨場感あるなぁ・・・。
リアルタイムで見てたんだが、一瞬、その価値がわからなかった。
自陣玉を放置して、攻め合いにいったみたいに見えたけど、これが通常の「仕掛け」ではなく「決め技」になっていたところがすごかったらしい。
その辺、トッププロは、この手の価値、意味を一瞬で見破ったようで、そんなにすごいのか、としばし、モニターを凝視してしまった。
対局はその後、数手で竜王が決めてしまったが、ここでのやりとりがまた面白くて、

「この時刻、残り時間で△7九銀と打ったということは、勝ちましたと言っているようなものです」(山崎七段)
「いきなり銀ですか…次元の違う世界ですね」(大野七段)
棋譜解説につき、略)
阿部八段「痛いな。△7九銀は痛い」
山崎七段「なんで気付かなかったのかな。△7九銀」
阿部八段「弱いからや!」
山崎七段「こんなに棋士がたくさんいるのに…」
阿部八段「ヘボだからや!」
山崎七段「谷川先生もいらっしゃいましたが…」
阿部八段「たっ、谷川先生も眼鏡をこうクイッとされてはったもん」

おい、阿部・・・。(笑)
おもろいなぁ、こんなこというから、阿部八段と谷川九段が仲が悪いとか、谷川九段は阿部八段を煙たがっているとか噂されるんですよ。・・・もちろんそんなことはありませんが。(^_^;
今回の対局、将棋ももちろん面白かったんだけど、このやりとりがすごく面白かった。
さて、このまま竜王が4連勝で防衛してしまうのか、それとも森内九段・第十八世永世名人が一矢報いるのか、第4局は25,26日、岐阜県下呂温泉にて。