火星の月の下で

日記がわり。

ブルッフ・ヴァイオリン協奏曲第2番ニ短調Op44

CDデータ:1954Nov2録音。
独奏Vn:ヤッシャ・ハイフェッツ
指揮:アイズラー・ソロモン
管弦楽RCAビクター交響楽団
第1楽章。Adagio ma non troppo Dm 4/4
緩やかな管弦楽和声の後、独奏ヴァイオリンが主旋律を奏で、再びオケにわたしていく、という流れは、第1番と共通。
ただし、重苦しさ、哀愁に満ちた情緒は第1番より強い感じがするが、第1番ほどの詩情は感じない。
だがこの暗さと、その中で交互にわきおこる長調のパッセージは魅力的だ。
総じて長調のパッセージは暗雲の中から曙光のさすさわやかさがあり、管弦楽によって主導される短調はかなり劇的である。
ゆるやかに長調終止する。
全曲23m24sのうち、この第1楽章が11m24sと、ほぼ半分を占める。
第2楽章。Allegro moderato B♭ 4/4
通常の協奏曲と違い、緩−急−急の楽章編成であるが、それほどの変化はなく、曲想としては、少し早いかな、という程度。
冒頭いきなりオケによるリズミックな示動動機が始まり、憂愁と躍動が交互に立ち現れる。
第3楽章。Allegro molto B♭ 3/8
ようやくここにきて、伝統的な「跳ね回るように歌い踊る」協奏曲終楽章のヴァイオリンが楽しめる。
だがもちろん、この軽やかな動きは、国民楽派のような、羽目を外した明るい喜びと言うより、優しく上品に歌い踊る姿のようである。
ハイフェッツの第1番、第2番、スコットランド幻想曲が納められた盤による視聴。
圧倒的に有名な、そしてその魅力がこぼれんばかりの第1番に比べて、取り上げられることの少ないこの第2番であるが、全体の半分を占める第1楽章の魅力は、まさにドイツロマン派の協奏曲で、手堅い管弦楽技法と、独奏ヴァイオリンの魅力的な曲想は、決して埋もれてしまうべき曲ではないことを明確に示してくれる。
第3楽章のちょっと暗い影の漂う長調の音のふくらみは、20世紀初頭に登場する、ドイツ表現主義映画の片鱗というか先がけというか、そういう匂いも感じさせてくれる。
CD自体はあと数種類出ているようなので、演奏家の有名無名を問わず、聞いていきたいと思う。
ここには第3番が入ってないので、他の演奏家になるだろうけど、第3番もそのうちに感想を残しておきたいと思う。