火星の月の下で

日記がわり。

クラリネット五重奏曲

木管楽器というと、子供の頃からオーボエの音色が大好きで、ついでファゴットクラリネット、ピコロという順番だったんだが、使われた楽曲で言うと、断然クラリネット五重奏曲、ということになる。
モーツァルトクラリネット五重奏曲イ長調Kv581
モーツァルトの作品はご多分にもれずそれこそ物心つく前から聞いていて、人並みにいろんな曲が好きだったりするが、一番好きなのは?・・・と聞かれると、最近はもう断然このKv581。
いや、断然と書くと、他になにもないみたいだから、そこまで絶対的に好き、というのでもないけど、もう聞いていると、なにかえたいのしれない深い心の底へと沈められていくみたいな、感動とかそういったものを通り超えていく、深遠なものが見えてくる。
クラリネットのやわらかい響きが、これほど夢想的に鳴る曲、というのは、ちょっとないんじゃなかろうか。
子供の頃は、第1、第4楽章が好きだったが、最近は第2楽章を聞いていると、自分がなにか哲学的なものの中に沈みこんで行くように感じる。
現世は夢となり、夢は現世となる・・・なんかそんな気持ち。
私にとっては、モーツァルトのすべての交響曲、すべての歌劇よりも重要な曲。
ブラームスクラリネット五重奏曲ロ短調op115
モーツァルトのクラ五が意識を哲学的な、ある種抽象的な深みへと連れ去ってくれるのに対して、ブラームスのこの曲は、きわめて具象性の強い感情、それは孤独であったり寂寥であったり憂愁であったりするが、そんなところへ連れて行ってくれる。
これほど秋に似合う音楽はない。モーツァルトと違って、ブラームスはその本質の大部分が室内楽にあったので、これをもってブラームスの代表曲、とまでは感じないけど、一番好きな曲、というのは言ってもいい。
それにしても、モーツァルトとはなんという対照的な曲だろう。それでいて、その深みはモーツァルトと同じくらい果てしない。
モーツァルト室内楽では他に、ハイドンセットの2番(15番ニ短調kv421)、6番(19番ハ長調kv465)、弦楽五重奏曲第3番ハ長調kv515、オーボエ四重奏曲ヘ長調370、ピアノと管楽の五重奏曲kv452が、ブラームスではopの付いている曲は全部好きだけど、とりわけヴァイオリ奏鳴曲第3番ニ短調、チェロ奏鳴曲第1番ホ短調ピアノ五重奏曲ヘ短調、てあたりが特に好きだ。でもその中でもクラ五はちょっと別格、という感があるなぁ。
ああ、こんなの書いてると、それ以外の、たとえばブラームス晩年の2曲の弦五とか、モーツァルトト短調の弦五とかも聞きたくなってくるのう。。。