火星の月の下で

日記がわり。

ジムボタン

二十世紀の偉大な児童文学者、としては、『クラバート』のプロイスラーと『モモ』のエンデを上げるのに何の躊躇もないが、この2人、名作『クラバート』と『モモ』が登場する前に、それぞれ長編シリーズとなったヒット作を持っていて、しかもそれが次の芸術的といっても良いほどの決定的名作とは毛色の違う、かなり正統的な児童読み物を書いていた、という点において少し似ているような気がする。もちろん2人の作風はかなり違うので、名作がでてくるまでの道行き、という点に過ぎないが。
プロイスラーが『クラバート』の前に『ホッツェンプロッツ』を書いていたように、エンデも『モモ』の前に『ジムボタン』を書いている。
アニメ好きにとっては(そしてたぶんほとんどの日本人にとっても)、あの堀江美都子が主題歌を歌っていた『アニメ版ジムボタン』の方が有名だろうと思う。
しかしこちらの原作の方、『機関車大旅行』と『13人の海賊』の方はアニメのような派手なバトルもなく、旅行冒険譚といった趣で、60年代の児童文学のもっとも良い香りを伝えてくれる。
この作者が10年後、あの『モモ』を著わす、なんて、この時点ではとうてい想像できなかった。
ちょっと書棚から岩波のハードカバーが出でてきたので、思い出方々記録しておく。