第69期王将戦第5局と、順位戦C級2組最終日
第69期王将戦第5局は、豊島六段が勝って、2勝3敗。
勝負は第6局以降へ。
さて、順位戦の方は、悲喜こもごも、というのが一番似合う一番下のC級2組が行われて、既に昇級を決めていた佐藤天彦五段と糸谷五段に続く3人目がかかっていた。
結果から言うと、唯一の自力が残っていた横山五段が山形のスーパー新人阿部(健)四段に敗れ、キャンセル待ち一番手だった稲葉四段が勝って3人目の昇級枠を手中におさめたのだが、将棋板にちょっと面白いデータが載っていたので、それについて少し記録しておく。
この順位戦最終局が行われる前の順位。
稲葉五段13位、遠山五段14位。ともに8勝2敗で、キャンセル待ち1番手の稲葉が昇級して、2番手の遠山は頭ハネ。
順位一枚の差が昇級をわけてしまったわけだが、過去のデータとしてこういうのがあった。
67期
順位02位 遠山 4-6
順位42位 稲葉 5-5
68期
順位26位 稲葉 6-4
順位27位 遠山 6-4
69期
順位13位 稲葉 8-2→C1
順位14位 遠山 8-2→C2
なんと、2期前のたった一つの星の差が今期の命運を分けてしまった、ということで、順位戦の怖さ、恐ろしさを目の当たりにしたような感覚になってしまう。
しかも、この第67期での遠山6敗の中に、あの中村(亮)五段との対局があった。
この対局、中村が大遅刻して、不戦敗まであと3分、というところでギリギリ到着。
持ち時間がほとんどない状態で始めて、しかも中村が勝ってしまった、という一局である。
結果論だけど、このとき、中村があと3分遅れていたら、今期の昇格は遠山だったのかもしれない、というわけで、劇的と言ってしまうにはあまりに残酷な運命かもしれない。
もっとも、そうなったらなったで、別のところで違う結果になっていたかもしれないので、結果論に過ぎないのだが、なんというか運命の綾というか、人知を超えたなにものかが働いているかのような気分になるな。
稲葉五段の師匠、井上慶太・現九段も、C級2組であの対木下戦での大チョンボ*1、そしてC級1組・順位10位で9勝1敗だったのに、森内、村山が全勝で昇級してしまって頭ハネを食らった、ということもあった。*2
その後の井上九段の昇級については言うまでもないが、人生、山あれば谷あり、というのを実感させてくれるのう。
順位戦には毎年いろんなドラマがつまっている。