火星の月の下で

日記がわり。

○断食死

某誌の書評でたいへん気になっていた本を、たまたま書店で見かけたので手にとってみたんだが・・・。
死にたい老人 (幻冬舎新書)
老齢に達した推理作家が、人生をやりおえた、と感じて断食死を決行する様子、それを本人が記録する、という、なんかもう生々しいというか、想像していた以上に深くキリキリ鋭かった。
自分の死の記録を、死んだあと出版してもらおうと思ったが、それをやると、手記を預かった人が法に問われるため、別の方法を考えねばならない、といったところから、いざ断食に入ると、頭痛が予想外に出てくる、思考力が枯れる、心理の揺れがはんぱなくでてくる、とか、なんか皮膚感覚で少しくらいはわかるものから、「生きる」とはどういうことなんかをといったことまでいろいろと感じさせてくれる。
実際、飢えた時って、ふだんとは違う感じの頭痛が出るし、思考が続かない、本が読めなくなる、というのも、ここまで凄惨ではないが、ほんのさわり程度、入り口程度だが経験があるので、そういったあたりが生々しいというか恐ろしいというか。
しかし断食死というのは、ある意味理想なのかもしれんと考えていたときもあったのだが、限りなくハードルも高いかな。
こういう性質の書で、ネタばれも何もあったもんでもないけど、一応今年9月の新刊なんで、結末は書かずにおく。
かなり衝撃を受けたが、数年後には、私にとっては基礎知識になってしまっているのかもなぁ・・・、生きていれば、の話だけど。