火星の月の下で

日記がわり。

○『平清盛』関西視聴率9.2%

NHKの大河ドラマ 「平清盛」 ついに関西地区視聴率9.2%(歴史的大敗さんのとこのまとめ)
「平清盛」ついに関西9・2%、関東11%(日刊スポーツ)
「平清盛」ついに…視聴率1ケタ (デイリースポーツ)
一応まだ見てる『平清盛』なんだけど、忠盛が死んでからなんか一向に変化しないので、そろそろ退屈になり始めている。
忠盛存命中は、それほど気にならなかったことがここに来て修正されずに一気に噴出してきた感じで、最近はちょっと否定的視点だ。
前回、今回で、おそらく前半最大の事件になる保元の乱が描かれたわけだが、正直あまりいただけない。
まず、清盛と忠正の関係。
忠盛、清盛親子と忠正の関係は、忠盛存命中からかなり距離が出てきてて決して良好とは言えなかった。
忠盛存命中の描写ですらその辺、感じてはいたけど、これは劇的変化のための伏線、と期待していたが全然そんなことはなくて、今回の乱後の後始末では、清盛が忠正の助命を信西入道に頼み込みにいっている始末。
軍記物語なんかでの常識としては、清盛はあっさりと忠正を斬首してしまい、それによって義朝も父・為義を斬らざるをえなくなる。
軍記物語では源氏に同情的、平家に否定的な描写が多いのである程度割り引いて考える必要があるけど、それでも忠正斬首が先で、義朝が躊躇していた、という記録はいろいろ残っているので、大まかには間違っていないはず。
本作、けっこう異説も取り込んでいるけど、今日かなり否定的に扱われている異説まで取り込んでいるので、その辺がどうも見ていてひっかかるところであるな。
もっとも、異説を取り入れるのなら、流罪後の崇徳上皇については怨霊話とかも含めてかっちりやってほしい、とは思ってる。
できれば『雨月物語』に出てくる、霊となって西行と語らう場面とかもやってほしいんだけどなぁ、せっかく西行の出家を丁寧に描いていたんだから。
上のまとめページでも誰かが言ってるけど、清盛に一貫した哲学がない、というのが、一番の欠点。
忠盛がいた時には、それは成長期間だったので別にそれほど不満もなかったのだけど、既に重盛が生まれ、義朝、後白河帝との対決などが見えてくるころだし、なによりも大陸との貿易を視野に入れ始める頃なのだから、英傑であれ悪人であれ、その行動なり考えなりに一貫した哲学が見えてこなくてはおかしいのに、その辺が全然ダメ。
頼長の「台記」の場面や、師長に対する遺訓の場面なんかも、あとあとの伏線のつもりかもしれんけど、そういった哲学性が欠けているので、単に素材を消化していってるだけにしか見えなくなっている。
この分だと、後半最初の大事件たる平治の乱の描写も、あんまり期待できないかな。
女性が脚本を書くことには別段なんとも思わないけど、天下国家に対する、あるいは生き残り闘争に対する哲学なり、巨視的史感がまったくない、というのもひっかかる。
とはいえ、最後まで見ると思うけどね、コミケとの用事でつぶれない限りは。