火星の月の下で

日記がわり。

アンティゴネーを読みながら

葬儀等で移動の途中、車中でソポクレースの『アンティゴネー』(岩波版)などを読む。
興味を引くのは、
・妹姫アンティゴネーによる「兄妹の絆」
クレオーンの変化
・・・の2点。
アンティゴネーの語る「兄妹の絆」が夫婦や親子のそれよりも深い、というのは親が死んでいるからというのはあるにせよ、面白い観点。
子は死んでもまた産むことができる・・・というのは、大手塚の『火の鳥』の一挿話でもあった。
こどものころ読んだ時にはこういうのはあんまり注意していなかった。
もうひとつ、クレオーンの変化は急なのでかなりの興味を引く。
こちらは昔から気になっていたところで、レーゼドラマとして読んでいると、いかにも急激な変化に感じる上に、その後のアンティゴネーやハイモンたちの自害がすぐせまってくるため、まさに急転直下の印象を受ける。
前半のアンティゴネーと末妹イスメーネーとの対話、中盤のクレオーンとアンティゴネーのやりとりが、緊迫した内容で進んでいきながらも事件そのものはまだ起こっていないため、クレオーンの心境の変化から末尾までが強烈な印象を残してくれる。
2500年前に書かれたドラマがこれほどの緊張感をもって最後までなだれこんでいくのはすごいことだ、とあらためて思った次第。