火星の月の下で

日記がわり。

◎『鉄血のオルフェンズ』第2話

ここ数年、冨野がやった『Gレコ』を除いて、とんでもない駄作群が続いていた『ガンダム』シリーズだったので、どうせ今度もガンダムの名前だけで商売したい凡作、駄作になるんだろう、とタカをくくっていたら、意外と面白い『鉄血のオルフェンズ
作品評価というか感想というかは全話見終わってみないとわからんけど、第2話まで見てきて「かなり面白い」という感想だ。
ストーリィの組み立て方とか、MSとMWのデザインとか、いろいろ気に入ったところもあったんだけど、特に主人公たる少年兵が戦地にかり出され、主人公の少年が「バルバトス」と呼ばれるMSを動かしてしまう下りが第2話冒頭であって、これがなかなか細かなところにまで配慮があり感心した次第。
阿頼耶識システム、という非人道的なナノマシンの埋め込み装置を成長期の少年につけることでMSの出す情報とリンケージできる、それを象徴するような「網膜投影」なる単語が出てくる。
・情報をリンケージしたとき、その衝撃で主人公の三日月少年は鼻血を流し、戦いに勝利しかけた時にも出血して失神。この「少年兵がMSを自在に操れる」という作品内理論の確かさ。
・少年兵達の置かれている立場。教育も満足に受けられない下層階級の出身で、それゆえにシステムをカラダに埋め込まれてしまっている、という悲惨さがある一方で、安易な同情がむしろ侮辱になってしまうという、冷え冷えとした意識、あるいは心理。
こういったものが、少年がMSを動かす、という理屈を語りつつ舞台となっている社会も描いている、といううまさ、このあたりなんかに引きつけられる。
そして、もう一件、第1話で戦士したダンジという少年の残したことばの深さがtogetterに取り上げられていて、これについては割と近いことを感じてしまった。
「【鉄血のオルフェンズ】「死ぬときはでけえおっぱいで死にてえ」の背景にある『少年兵のリアルさ』と『孤児なりの母性へのあこがれ』物悲しいおっぱいへの哀愁を感じる」(togetter886419)
逆リンクがいやなので、例によってリンクせずに番号だけにするが、確かにあの「死ぬときはでっけえおっぱいに埋もれて死にてぇ」っていうギャグとも冗談ともつかない、結果的に遺言になってしまったことばの深さには、いろいろ感じさせてくれるものがあるし、いちばん心に刺さったセリフという点でも同意だ。
ここでも書かれているけど、ほとんどが孤児であろう少年兵達の、母性への憧れなんかも意識の底にあったかも知れない、という点で、このセリフはとてつもない重みと暗さ、深さをもってくる。
三日月を初め、親を知らないこどもたち、あるいはストリートチルドレンのなれの果て、というのがところどころに回想として出てくるし、それゆえに三日月のような達観した視点にも反映している、という、暗い背景。
そういったところへも思索を重ねられる良いセリフだった。
というわけで、キャラデにいささか乗れないところもあるのだけど、錆び付いた、ギスギスした人間社会がわりと冷たく描かれているので、今後も期待しているところ。
「オルフェンズ」っていうのも、英単語を見ると「orphans」ってことみたいだしね。