火星の月の下で

日記がわり。

○『真田丸』第13話「決戦」

放送前にNHKの広報が「まるまる一本、第一次上田合戦」と宣伝していたので、そういう目で見ていたが、その中にあって異彩を放つ六文銭の場面。
合戦のさ中、梅(信繁の新妻、出産したばかり)が泣きじゃくる不思議な少年と出会う。
少年は中にあるお守りをとって欲しい、と言う。
家の中にあるその袋を梅が見つけると、中には真田の旗印、六枚の銭。
梅は少年とそれを何か小珠のようなものと強引に交換して、信繁にお守りとして託す。
六文銭」が真田の旗印であると同時に、その言われも語られる。
三途の川の渡し賃。
「縁起が悪い」と言われつつも「それゆえ心置きなく戦える」と言う信繁。
勝ち戦のさ中、逃げる徳川勢の渦に巻き込まれて、梅の戦死、泣き崩れる信繁達、という結末。
この流れで見ると、あの六文銭は信繁のためではなく、梅のためだったように見えてくる。
そうすると、あの唐突に現われた少年は何者だったのか。
まるで死神が新妻をさらっていったかのような感覚にさせられてしまう。
そういえば、その少年と出会っている場面、梅の背後を信繁が通り過ぎるのだが、信繁は梅と少年に気付かないのだ。
出会うことができなかった不安のように見えていたのだが、結末を知ってみると、あの少年は梅にしか見えていなかったのではないか。
今回、市街戦、ゲリラ戦を展開する合戦の面白さを堪能させてくれたが、その中サラッとこういう描写をはさむうまさ、心憎いばかり。
単に、勝ち戦の背後には、勝者であっても犠牲者が出る、というのを入れるだけでも良かったのに、この泥に汚れた少年と六文銭のお守りの場面をはさむことによって、さながら幻想文学的な詩情を醸し出してくれていた。
この辺が今回の合戦での個人的な見どころだったかな。
(追記)AM05:05
ついったを簡単に見てみると、少数ながら同じように見えていた人が何人かおられて、それによるとあの小珠は「銀粒」だったらしい。