火星の月の下で

日記がわり。

○『真田丸』第44回「築城」

録画で見たクチだけど、今回も面白かった。
OPをEDに持ってきた演出が騒がれていたようだったけど、確かに粋な演出。
ただああいうのって、アニメじゃもう数十年前からやられてきた演出方法なんで、半世紀以上アニメを見てきた人間としては、別段新しいとは思わなかった。思わなかったけど、使い方としてはすこぶる効果的。
太古のロボットアニメとかはともかく、最近20年くらいのアニメとかでああいうことをするのは1クールものかせいぜい2クールものなので、だいたい10話くらい、もしくは20話くらい終ってからで、3クール以上経ってから仕込んだ今回のやり方とはスパンがまったく違う。
従って、よく見る手法ではあるけど、このスパンの長さこそが良い演出に貢献していた。
その他の内容としては、5人衆の中で最初に死ぬ予定だからなのか、後藤又兵衛の露出がすごく大きい。
後世、文献によっては真田以上の強兵ぶりを謳われたりもし、かつ5人衆の中では最後まで生き残り(明石は生死不明になるけど、不明以後参戦していないので)秀頼の介錯まで勤めた毛利の方をもっとクローズアップしてほしい気持ちも少し。
豊臣方、悪の三巨頭みたいになってる茶々、有楽斎、大蔵卿局の存在感が強烈に増してきてて、中でも大蔵卿局の憎々しげな表情は良い対立感を煽ってくれてて面白い。
今回、不勉強で知らなかったこと、もしくは史実を越えているのかどうか確認してなかったこと。
真田丸の築城を悪の三巨頭が拒絶し、大野修理が一度は認めかけたりした後、最終的に秀頼が現場に来て許可していたこと。
かなり細かなところまで最新の研究を使っていたり、かと思うと「幸村」を名乗らせたり、虚実を巧みに混ぜているので判別がつかないところもまま出てくる。
ただ虚実を混ぜていても、演出効果としてうまく結実しているので、その辺は三谷さんの手腕ということになるのだろう。
最近になってようやく思いだしたのだが、三谷さんって『12人の優しい日本人』の作者。
人物の個性を短い間に鮮やかに見せる、そしてその設定だけでなく変化さえも見せる、というのがうまかった映画だったので、今回の人物像の描き分け、当然かな、という気もしていたりするところ。