火星の月の下で

日記がわり。

◎『響け! ユーフォニアム・第二楽章 前編』を読む

ユーフォ・シリーズ、立華編を経て北宇治高校に舞台を戻して、第二楽章の開始。
もうすぐ後編が発売されるのに少し遅れてしまったけど、なんとかその前に前編を読了したので、ごく簡単に感想を。
ネタバレ、若干入ります。
お話はあすか先輩達が卒業して、デカリボンこと優子が部長、夏紀が副部長となった、久美子達二年生時からスタート。
新入生として一年生がやってきて、それに久美子が振り回されたり慕われたりするところが今回のメイン。
一読して、個々の人物の個性を描き分けるのがほんとうまいな、というのが実感。
キャラクターの色づけ、というか設定的な意味での個性、というのはラノベもしくはその周辺作品ではたいがいやってるし、そもそもそれがないと市場には出てこれないと思うのだが、本作の個性描写は単にそういった色づけとか属性とかの範囲を超えて「変化」までが描かれているという点に特徴がある。「成長」と言ってもいいかもしれない。
久美子一年時の4冊でもそういう色合いは強く感じたけど、この二年時になって、久美子視点に全体的俯瞰が加わったことで、いっそう顕著に目に映るように感じた次第。
特に今回の肝と言っていい、外面の良い奏(久美子直属の後輩、ユーフォ)と、プライドのせいで素直になれない美玲(葉月、拓也、梨子の後輩、チューバ)の二人が出色だし、成長というよりは変化に近い求(コントラバス、緑の後輩)ってあたりの描写があまりにも生き生きとしていて、アニメの延長のような感覚になってしまった。
それと二年三年組に、前作ではほぼ出番がなかった二人、釜屋つばめ(二年、パーカッション)と加部友恵(三年、トランペット)が登場。
つばめの方は冒頭にちらっと出て来ただけだったけど、友恵の方はかなり重要な役割。
この二人、アニメではしっかり映ってて、設定表にも名前が載ってるので、原作者さんがそれをちゃんと使った、ってことだよね。もちろんアニメ設定段階で原作者自らが作っていたのかもしれないけど。
この前編では奏と美玲、それに加部ちゃん先輩の問題が片付いて一段落したんだけど、まだ求の出身母体である聖龍学園と何かありそうだし、名前だけってことは考えられないから釜屋さんとも何かあるのかも、だし、何よりみぞれの後輩・剣崎梨々花の活躍もあの一件だけではないと思われるので、後編はそのあたりが楽しみかな。