火星の月の下で

日記がわり。

「ライトバックライトバック」「オールバック」

ブラブラ地元の商店街を歩いていたら、ちっちゃなCDショップの店頭に「日本の伝統芸能・昭和の漫才」というのが置いてあった。
なんの気なしに手にとってみると、エンタツアチャコの「早慶戦」があったので、迷わず購入。
ラインナップは以下の通りなんだが、東京漫才の方が多いのがかなりひっかかるところではある。
1. 獅子てんや・瀬戸わんや『世界食べ歩き』
2. Wけんじ『調子いい物語』
3. 内海桂子・好江『海外旅行』
4. 松鶴家千代若・千代菊『もう帰ろうよ』
5. 横山エンタツ花菱アチャコ早慶戦
6. 砂川捨丸・中村春代『即席問答』
しかしそうはいっても、かなり貴重な音源だと思うので買っておいて損はないだろう、とも思ったわけだ。
ちなみに、すべて80年以前に一度音盤で出ているはずで、知っているものばかりだった。もっとも、一部短縮されてるような感じのものもなくはなかったが。
さて、その『早慶戦』。
日本漫才史上に燦然と輝くこの名漫才は、戦前のものなので当然私が生まれるはるか昔のものだが、それでも過去に何度か聞いたことがあった。上記の復刻音盤等で。
漫才の歴史を見ると、それ以前がほとんど音曲漫談だったというから、まさにここからしゃべくり漫才が、もっと極端に言うと近代漫才が始まった、といえると思う。
もちろん、今の耳で聞くといかにもテムポは遅いし、のろのろとしたしゃべりに聞こえなくもないけど、ぼけとつっこみ、だじゃれぼけ、時事ネタ等々、現代のしゃべくりの基本ともいえるものがそうとう散見される。
それにしても懐かしい。
もちろん上に書いたようにリアルタイムでの懐かしさではなくて、音盤で聞いていた昭和40年代の懐かしさであるが、いとし・こいしから、やすし・きよしへと言う新しい流れが生まれ、物語を構築して破壊していくというプロセスを目の当たりにしていた頃、さらにその昔に、こういう近代漫才の黎明があったことを知って、いたく感銘を受けたものだった。
今聞くと、時事的なネタなど、もう歴史証言に近いような感覚もあって、たとえば
「打て! 守れ!」
「入営を祝す!」とか、
「そりゃあもう早慶戦といえば日本一の野球やからね」等、まだプロ野球が始まる前の、大阪においてさえ伝わってきた早慶戦人気の雰囲気など、いろいろ得るところは多そうである。
たしかこの脚本は、秋田実が、2人が普段しゃべっていることをそのまますくいとっていったらできた脚本、みたいなことをどこかで読んだような記憶がある。
残念ながら、このCDには、そういった資料的な解説がほとんどなかったので、おぼろげな記憶で書いているわけだが。
ほとんど30年ぶりに聞く『早慶戦』だったが、かなり覚えていたのには驚いた。
たぶん捜せば出ているであう、戦後上方漫才のCDなんかも、捜してみたいものだ。
いと・こいさんとか、洋介・喜多代なんか、ぜひもう一度聞いてみたいもんですなぁ。。。