火星の月の下で

日記がわり。

卓ちゃんの将棋講座

日曜日のNHK杯、中川−羽生戦で壮絶な逆転劇(つーか、トン死?)があって、「こりゃすごいな」と思ってみていると、ニコニコ等動画サイトにいろいろ上がってて、ふだんプロ将棋にそんなに接したことがないであろう人達の間にもけっこうな話題を提供していた。
たしかにすごい逆転で、あれは1年にそう何局も出ないであろう一局だったと思う。
もっとも新聞棋戦等をこまめに追っていたら、「めったにない逆転」とまでは言えず、順位戦のB2とかC1あたりでときどきお目にかかる。
まぁ、そういうのが読みたくて、というか順位戦棋譜を見るのが楽しみで、近年左傾化はなはだしい毎日新聞を我慢して購読しているようなところがあったりもするんだけど*1、テレビで見られる棋戦ということで、インパクトは大きかったと思う。それと月並みだけど、ニコニコの効果。
さて、それとは関係なく、10月になってからCS将棋チャンネルの将棋講座に実戦でひもとく森下将棋の世界というのが始まっていて、これがすこぶる面白い。
この将棋講座、タイトルホルダーとか、A級、B1の上位者、のようなトップランカーはなかなか出てきてくれないので、森下卓九段の講座は久々のトップランカーの登場、という感じだ。
上位者だからと言って面白いか、というと必ずしもそうではなく、まぁ、名前は伏せるけど、数多くのタイトルを奪取したベテランとか、タイトル保有の関東棋士なんかが出てきて、何をしゃべってるのかよくわからない講座、というのも過去にはあった。
将棋講座の面白さ、というのは、2つの効用をどの程度満たしているか、という点で決まってくるように思う。
まず第一に実用性。
実際に自分がぶつかるかもしれない局面に応用ができるかどうか、あるいは自分が得意とする戦形で覚えておかなくてはいけない心構え、罠、等。
もうひとつが取り上げる棋譜の面白さ。
この棋譜の面白さも、実用性というところがあるから突飛すぎてもいけないし、かといって定跡べったりというのも、あきてしまう。*2
卓ちゃんの講座は、その両面、どちらも過不足なく満たしてくれて、しかもその裏に秘められた戦略の解説が具体的で、かつわかりやすい。
もともと森下卓という棋士は、「律儀流」とまで言われるくらいに、本筋を追求しかつ正統派であること、将棋誌等で伝えきく、「早寝早起き」の規則正しい生活や、人当たりのよさ、将棋界には珍しい気遣いができる棋士、ということが広く知れ渡っている棋士でもある。
対局解説などで見ていると、とにかくできるだけたくさんの、しかも正鵠を射た情報を愛棋家にお伝えしたい、という熱意というか、真摯といってもいい情熱が伝わってくるし、もちろん実力は折り紙つき。
だから卓ちゃんの講座、ということでそういうすばらしい効果は予想はしていたけど、はっきりいって予想以上に面白く、かつひきこまれる。
とりあげているテーマも、居飛車党が直面する、振り穴との対決方法、それにイビアナを使っての四軒飛車対策。こういうストレートな、しかも本筋にあるテーマをわかりやすく伝えてくれている。
以前、変態振り飛車・窪田の講座がすばらしく面白かったけど、なんかそれ以来かな。
将棋講座は、時間が立っても再放送してくれるときがあるので、再放送のあかつきには、最初の頃見てるだけで録画してなかった分を録画しなおしたいと思っている。

*1:本音を吐いたら、もうやめたいんだけどね(笑)。全国情報とか国際・経済ニュースなんかはもうネットで知ることの方が早いし、朝一番の新聞を見ても、知ってるニュースばっかりになってる。そんなわけで、地元の新聞の方が地域情報的な意味でよっぽど価値があるんだけど、地元新聞、たとえばうちだと奈良新聞とかになるわけだが、これだと地元の職団戦の棋譜くらいしか載っていない。

*2:もちろん、定跡を覚える初心者用の講座とかは話が別だけど。