火星の月の下で

日記がわり。

沙翁を再読したい

最近とみにシェイクスピアを再読したい、という感情にとらわれてるている。
劇作品は『エドワード三世』も含めて、若いときに全作品読んでいるし、BBCによってテレビドラマ化された全集も見たし、その中の7割くらいは実際に原語で芝居も見ている。
だがほとんどが若い頃なので、細かなところを忘れているんだよなぁ、その辺をもう一度補強したい。
こう思ったのは、奈良に引っ越してきてからシラーの全戯曲を再読して、けっこう忘れてるところがあるなぁ、と感じたからで、もはや古典に入るもので、かつ好きな作品であればどんどん再読していくべきではないか、と思い初めていたからである。
新しいものは・・・年齢を考えると完結するまで待てないのもあるし、何よりその刊行スピードについていけなかったもするので。
特に史劇を再読したい。
『リチャード三世』を読み直して、その深み、人間の心の業、みたいなものに、少年時代に翻訳で読んでいたのとはまた違った感銘を受けたからだ。

And therefore, since I cannot prove a lover
To entertain these fair well-spoken days,
I am determined to prove a villain
And hate the idle pleasures of these days.

ご存じ、第1幕冒頭の、「オレは悪党になってやるぞ」の場である。そして、

What do I fear? Myself? There's none else by.
Richard loves Richard; that is, I am I.
Is there a murderer here? No - yes, I am.
Then fly. What, from myself? Great reason why・・・
Lest I revenge. What, myself upon myself!
Alack, I love myself. Wherefore? For any good
That I myself have done unto myself?
O, no! Alas, I rather hate myself
For hateful deeds committed by myself!

・・・という第5幕において語られる、自らの孤立した姿に至るまで、幼い頃にはあんまり気がついていなかった心の闇の深さが直にしみいってくるかのようだからだ。
後年書かれたさらに偉大な劇、『マクベス』や『リア王』に見られる深淵の深みにまでは到達していないものの、十分にひきずりこまれる内容で、筋を知っていてもなおかつ面白い。
そんなわけで、書庫から引っ張り出せれば、次は『ジョン王』と『リチャード二世』を再読したいと思っている。
『リチャード二世』なんか子供の頃は全然面白くなかったんだけど、今読むとまた感じが違うのかな・・・。