火星の月の下で

日記がわり。

明日、話題の熊坂学五段がNHK杯に登場。

1回戦最終局に熊坂五段登場。
相手は女流枠の香川愛生女流王将。むむ、かなりの強敵。
今年度一年間、電王戦や各タイトル戦、順位戦なみにこの熊坂五段が話題の中心になると思われる。
いまさら書くまでもないけど、簡単におさらい。
2001年度後期に奨励会三段リーグを2位で抜けて、2002年度から順位戦C-2に参加。このとき25歳。
ところがそこから、2-8,3-7,2-8、と3期連続で降級点をとり陥落、2005年度からフリークラスへ。28歳。
プロ入り後たった3年で順位戦から降格した初の棋士。プロ棋士の厳しい戦い、制度を我々にまざまざと教えてくれた棋士でもあった。
フリークラスでは10年間しかいることができず、それを過ぎると強制引退。
C-2に復帰するためには他棋戦で6割5分+30局以上対局、もしくは6割+17勝以上とか、一般棋戦優勝、タイトル挑戦(もちろん奪取でも可)のうちのいずれかを達成する必要があり、普通はかなり厳しい。
過去にフリークラスに転落しながらこの6割規定をクリアしてC-2に復帰したのは、伊藤博文五段(当時)ただ一人で、その他、順位戦からの降級ではなく奨励会の次点規定からフリークラス経由でC-2に昇格した棋士は何人かいる。
だいたい普通は50歳を越えたロートル棋士順位戦を終えて、ご苦労さん、といった意味合いが強く、トッフ棋士ならともかく、下位の棋士はたいてい勝率2割とか3割とかなので、6割なんてまず無理なのだ。
そして熊坂五段はついに今年、その10年目を迎える。現在37歳。
現在勝ち残っている棋戦(順位戦以外は下位の予選は全てトーナメント)を見ても6割規定を満たすのはまず不可能。
残された可能性は一般棋戦で優勝するくらいで、その残された数少ない棋戦が明日のNHK杯なのである。
しかしたぶん、現役として映像に出てくる最後の姿となるだろうな、というのが一般の視点。
そういった背景で戦うわけで、プロ将棋の世界の厳しさをかみしめながら見たいと思う。