火星の月の下で

日記がわり。

ジネット・ヌヴーのシベリウス

太陽が沈み、闇が周囲を包み込む頃。
あの不幸な飛行機事故で30歳の命を散らした偉大なジネット・ヌヴーが、大戦直後に録音したというシベリウスのヴァイオリン協奏曲を聞いていた。
確かにすごい名演だ。
これが20代後半の録音だと言うのだから、恐れ入る。
技術的になことだけではない。
感性、音色だけでもない。
その中に潜む詩情、音の構築。
シベリウスが、直に我々に語り掛けてくる。
そんな楽想を響かせてくれる。

もしヌヴーがあの飛行機事故にあわず、天命を全うしていたとしたら。
イダ・ヘンデル以上の演奏家になっていたのだろうか。
想像はつきない。