火星の月の下で

日記がわり。

ヴィエニャフスキー・ヴァイオリン協奏曲第2番ニ短調(スターン1946年盤)

歴史的名盤10枚組の一つ、アイザック・スターン1946年録音盤である。
以下、CDデータ。
Vn:アイザック・スターン
指揮:エフレム・クルツ。
オケ:ニューヨークフィル。
46年米国の録音というだけあって、音質は10枚の中でもトップランク。さすがに、最近のSACDの高音質録音あたりとは比較できないけど、普通のモノラルLP程度の音は出ていると思う。
曲の簡単なデータ。まぁ、有名曲だから、昨日のラインベルガーみたいに細かく書く必要もないと思うので、概要だけ。
第1楽章 Allegro moderate(急楽章)−第2楽章 Adagio(緩除楽章)−第3楽章 Allegro Moderato:Alla zingaresca(ジプシー風に、と題された急楽章)
聞いてみると、第2楽章のヴァイオリンの歌もすごくモダンに演奏されてて良いんだけど、やはり白眉はジプシー風に、と書かれた第3楽章である。光輝くように流れていくパッセージの美しさ、劇的さ、フョードルガイゲを連想させる重音の軽やかさ等、暗い情熱と素朴なロンドが耳に心地よく響く。
元来、名人芸の方にややウェイトのかかった協奏曲だったが、楽々とひきこなした上で朗々と歌っており、なかなか快適。
ヴィェニャフスキーの方だが、シベリウスブラームスドヴォルザークなんかの他のロマン派ヴァイオリン協奏曲に比べると音楽の密度はややうすいけれど、メロディとハーモニーはなかなか美しく、まあまあ好きな協奏曲の一つだった。ただし、今回のスターンのような名手がひくと、心地よさの方が強く残ってしまうのでなんとなく素人演奏をしてみたくなるけど、実体はかなり難解な曲なので、スコアを取り出してきてギコギコやりはじめるとかなり悲惨な自己嫌悪に陥るから、絶対やらない方がいい。(笑)
ただ、21世紀になって世界史板なんてカオスなところを見てたりすることがあるので、あそこに巣食う兇悪なポーランドヲタを見ているせいで、どうもここ数年ポーランドに対するイメージが悪くなってしまった。
以前は全然意識してなかったが、ポーランドの音楽家っていうと、なんか不快感が立つようになってしまったので、その変なイメージを払拭するのがちょっと面倒だった、というくらいは記録しておいてもいいかな。
極めて個人的なことだけど、まぁ、以前にも書いた通りブログは私の場合日記なんで。ヴィェニャフスキー自体には何の関係もないことなんだけどね。
スターンの方はと言うと、このちょっと前くらいから演奏家としての絶頂期が始まる時期なので、もうほとんど文句のつけようがないくらいの名演で、ハイフェッツミルシテインなんかとは違う意味での名人芸である。相当数のLPを所有していたはずだけど、この時期の録音はほとんど無かったので、その意味でもありがたかった。