火星の月の下で

日記がわり。

銀盤カレイドスコープ 第6巻

悲しいまでに作画の破綻したアニメ版ではなく、原作の方の第6巻。
今回は、タズサ・サイドから見て、いままで敵役だったドミニク・ミラーと至藤響子にスポットをあてたもの。
構成がなかなか凝ったつくりになっていて、前半が、ドミニクが現在から過去へ、響子が過去から現在へ、と4つのステージで人生を振り返るショート・エピソードを交互にはさみ、後半が2009年の世界選手権での描写。いやぁ、いつもにもまして、けっこうなヴォリュームでした。
前半のドミニクと響子の歩んできた人生、いい青春絵巻になってます。しかも、今まで読んできた5巻分のエビソードをうまい具合にフラッシュ・バックさせてるし、共通のコーチの存在によって、響子とドミニクが知り合っていく物語にも出来上がっているし、アニメは散々でしたけど、この人の小説家としての力量はかなりのものと言えますね。
前半の青春小説からうってかわって、後半は世界選手権。響子のバンパイア・プログラム、リアのスクールガール・プロムナード、ガブリーの銀河鉄道、ステイシーのルパン3世、ドミニクの法廷のOL、タズサの白髪の天使と、次から次へと展開される、1級のショートショートのようなプログラムの数々。
たぶん、2〜3冊くらいの内容を詰めてしまいましたね、海原さん。
面白くて、一気に読めます。めくるめく氷上絵巻。
次巻で最終予定、だそうですが、こりゃ、2分冊に別れるかもしれませんね。
ところで、気になったのが、常に1位の、天才少女、女帝リア、はまぁいいとして、最近2位もガブリーに固定されてきたようですが、ここいらへん、タズサ、ドミニクとは、少し力に開きが出来てしまっている、ってことなんでしょうかねぇ。たまたま、かもしれませんが。
そういや、ドミニクの話をやってしまったので、Big4の中では、ガブリーだけ独立したエピソードがありませんね。まぁ、キャラ描写に濃淡が出るので、それもいい味付けだとは思いますが。
つうことで、最終巻、あらたな対決に燃えるドミニクと、女の幸せを手中に収めてしまいそうな響子、とタズサとの関係に焦点は移ってきそうですが、今一度、タズサとリアの交流にも描写がさかれんことを期待します。