火星の月の下で

日記がわり。

蛇のヘミペニス

ちょっといろんなニュースサイトでリンクされてたヘビには生殖器が2つあるという記事。
えーと、我々爬虫類飼いにはもう常識中の常識だったりするのですが、世間的には、こういう知識はまだ珍しい部類なんでしょうか、うーむ。
というとで、この記事に少しだけ補足。
ヘミペニス(半陰茎)ですが、これは、中を通って精液が出てくるわけではなく、外側を伝って滲み出るように精液が流れてくる棘のついた袋状のものなので、哺乳類なんかの陰茎とは感じが全然違います。
従って、人間のペニスなんかと違って、中は空洞で、普段は体内にしまってあります。総排泄口からむかって尾側。
しまってあっても、袋状なので、ここに金属の棒をつっこむことができ、これを利用して、性別の判定なんかを行います。
ヘミペニス専用の雌雄判別用金属棒、セックスプローブと言いますが、大きい目の爬虫類店なんかに行けば売ってます。たしか通販でも買えたかな。
ちょっとした勘と技術はいるけど、これをゆっくりと生殖口につっこんでいって、長ければ♂(つまりヘミペニスの内側にプローブが入っている)短ければ♀、という具合です。
慣れないと生殖器をいためてしまうし、たいてい暴れますので、最初は熟練者について学ぶようにして経験します。つうか、いきなり器具買ってきてつっこんだりしたら、かなり悲惨なことになると思う。(笑)
蜥蜴はヘミペニス以外でも雌雄判別ができるものもありますが、蛇は、テングキノボリヘビみたいな特殊な連中はのぞいて、ほとんどこのヘミペニスでしか雌雄判別ができません。
まぁ、完全に成熟した中型以上の蛇とかですと、ヘミペニスをしごきだす方法ででもできなくはないですが、こっちはもっと技術が要る・・・と思う。
我々飼育者が雌雄を知りたい、っていうのは、生まれた子供の雌雄判別をするときが一番多いと思うので、成熟個体でないと難しいやり方は、現実的ではないですね。
もう一つ、有鱗目ということばについて。
最近、トカゲ目という分類も見ますが、一応まだ正式には有鱗目だったと思います。
分類学の項目ってのは、けっこう頻繁に書き換えられるので、厳密に現在がどうなってるのかまではわかりませんが。
で、その下に、亜目、というのが設定されて、トカゲ亜目、ヘビ亜目、という位置づけだったと思います。それに加えて、最近では、ミミズヘビ(かつてはメクラヘビと言った)とかミミズトカゲ(四肢が退化と、土中で暮らすので、外見もほとんどミミズ)なんかも亜目として独立させていたように思う。
従って、有鱗類、なんていう分類はちょっと聞いたことがないので(これだと爬虫類から独立してしまうことになる)ちょっと違うような気がするんだけど。
爬虫類、という分類に統一性がないのは当然で、羊膜で増えるグループのうち、鳥とか哺乳類とかを除いたその他、っていうことになるので、例えば、カメ目なんてのは、有鱗目なんかとは全然違うので(ここいらへんは頭蓋にあいている穴の数とかでも分けるようです)一々細分化していくと、きりがない、ってことになんでしょう。
ゆえに、現在の分類は、ワニ目、カメ目、ムカシトカゲ目、有鱗目の4分類で十分だと思う。
爬虫類の分類がややこしくなるのは、これに恐竜なんかの古生物を組み込むからで、現世分類ではこの4つでいいんじゃないかな。
ちなみに、ニュージーランドの小島にいるムカシトカゲは、姿だけなら蜥蜴に似ているんだけど、ヘミペニスはないし、歴史的には有鱗目登場以前からいたことが判明しているらしいし、寿命も80年くらいだったりと、蜥蜴とは中身がかなり違う連中です。