火星の月の下で

日記がわり。

メンデルスゾーン・交響曲第3番イ短調

ここ最近、メンデルスゾーンスコットランド交響曲をよく聞いている。良い曲ですなぁ。
特に好きなのは、第1楽章展開部における、荒野を風が吹き渡っていくような弦のうねりのところで、あそこを聞くと、もうゾクゾクしてしまう。
あと、第4楽章冒頭の、冬の冷気が肌を切るように舞っていくところ。
数ある浪漫派のシンフォニーの中で、これくらい情景的な音楽はそうないんじゃないだろうか。
全体は最終的には長調終止するけれど、この全体を覆い尽くす、暗い、駆け抜けるような荒野の音楽、それでいて旋律は覚えやすく、モティーフは柔らかく優しい。
第4交響曲・第2楽章の巡礼のアンダンテもなかなかに美しい音楽だけど、このスコットランドは、全曲にわたってこの冷たい嵐が人肌の上を吹きぬけていく音楽なのだ。
私が学生の頃、どうもメンデルスゾーンは正統ドイツ音楽の立場からすると、どうも底が浅いように言われてたことがあったのだけど、今くらいの年齢になってくると、そういった理屈や理性の部分よりも、こうダイレクトに感性に響いてくる音楽もなかなかに捨てがたく感じてしまうところだ。
それに浪漫派の音楽に底が浅いも深いもなかろう。感じるか、否か、それだけだ。
音盤は月並だけど、カラヤンショルティが良い。