火星の月の下で

日記がわり。

▽法事、そろそろ終わり

田舎の旧家で展開される法事と葬儀、なんとか終焉を迎えつつある。
予定としては明日の午後までいる予定だったのだが、なんか大雨が近づいているみたいなので、今晩、近畿組は車で帰ることにした。いや、一応ここも地理上は近畿の端っこではあるんだが。(^_^;
とにかく大雨が来るととんでもないことになるのは、幼年期の体験で嫌というほど見てるので、最悪、数日の足止め、ということにもなりかねないので。
幸いなことに、御当主の方が気を使ってくれて、我々遠来組はもう帰っていただいた方がいいだろう、ということになった。
そんなわけで、今夜帰宅の予定、つうかもうすぐ出るけど。
この室町時代くらいから続くこの旧家で聞いたちょっと面白い話、女紋。
「おんなもん」と発音してたので、どういう字をあてるのかちょっとわからなかったのだが、たぶん内容から「女紋」だと思う。
それは、嫁ぐ娘にだけ受け継がれていく家紋で、当然のことながら、嫁ぐ先々で姓は代わっていくわけだ。
したがって、姓氏に伝わるものではなくて、娘から娘へと伝わっていく家紋である。
摂津の商家、畿内の貴顕の家柄にも残っているらしく、畿内から西国に特有のものらしいが、この播州では畿内のものとは少しばかり動機が違う。
畿内では、入り婿によってその意義が有機的に語られているようだけど、こちらでは、他家へと嫁ぐ娘への、親からの情愛のようなものを強く感じる。
それは最近の女紋継承だけではなく、ずっと昔、文書に残る家の記録などでもうかがえることができて、柳田の『妹の力』ならぬ『娘の力』のような、まことに日本的な家族愛が伺えるところで、蔵に行ってそういった昔の文書を拾い読みすると、実に面白い逸話がいくつも記載されていた。
こういう日本的情緒、伝統に触れると、なんか暖かい気分になるね。
遠く、関東の地に嫁したまた従妹なんかもいて「そういや母からそんなのをもらったなぁ」とか思い出していた。残念ながら彼女のうちでは男児しか生まれなかったので、彼女止まり、ということになりそうであるが。うちではどうだったのかな。
こういう娘を大切にする風習というのは、日本的美徳だね。
女を商品としてしか見ない大陸の野蛮国なんかには想像もできない風習だろう。