火星の月の下で

日記がわり。

第65回NHK杯一回戦第8局、佐々木勇気五段vs藤原直哉七段戦

関東若手のエース格・佐々木五段に、関西のベテランというかほとんどロートルに近い藤原七段の対戦。
昨季、順位戦でC2からC1に昇級した佐々木五段に対して、既にC級2組27期目の藤原七段の対決、先手が佐々木五段、ということで、佐々木五段が普通に勝つだろう、と思いつつぼんやり見てたら、終盤でものすごいドラマが。
終盤というか、最後の一手、かな。
相懸り模様から角換わりになり、中盤両者相手との間合いをはかって停滞、そこから佐々木五段が仕掛けるも決めきれなくて藤原玉は中段へ、というつかまえにくい場所に飛び出して入玉寸前に。
しかし点数勝負になると少し微妙だったせいか、藤原七段が端から細い攻めを続けつつ終盤へ。
解説の福崎九段が「なんとなく後手(藤原七段)がいいかな」とは言っていたものの、素人目には先手の入玉もそれほど難しくはなさそうだったので、先手勝ちか、悪くても持将棋?・・・に見えていた。まぁ、持将棋だったら放送せずに指し直し局の放送になっているだろうから持将棋はないとは思ったけど。
そして、最終盤。
五段目まで浮き上がった佐々木玉が入玉目前、となったところで、藤原七段の絶妙手、76龍のただ捨て。
それを見て佐々木五段の投了。
普通将棋の終盤は、決定打のあとしばらく指して「形づくり」になり、その後投了、というケースが多いので、こんなにみごとにラストの一発できめて、というのはそうとう珍しい。
見ていて全然気がつかなかったし、解説の福崎九段もしばし絶句だった。
中盤はわりと普通の展開だったのでぼーっと見ていたけど、この最後の一手だけのため、とすればすこぶる価値のある一手、ほとんど妙手と言っていい手だったと思う。