火星の月の下で

日記がわり。

○始めた時の年齢ではなく、始めた時の動機とスピードが大事

森雞二九段という将棋棋士がいる。
タイトルを2期獲得し、順位戦A級で優勝して名人戦にも出たことのあるまごうかたなきトッププロだ。
その森九段が将棋を覚えたのは、高校一年生の時だったという。
プロになるような棋士はたいてい小学校就学前に将棋に出会い、十代前半に奨励会入りするのが普通なので、晩学派のチャンピオンと言ってもいい。
その森九段は奨励会を驚くべきスピードで駆け抜け、21歳でプロ四段、そして31歳でA級優勝して名人に挑戦した。
この森九段のエピソードで心に残っていることが一つある。
将棋を始めたのは遅かったけれど、始めた頃は一日の大半をそれに費やし、それだけに集中していたらしいとのこと。
このエピソードは、何かことを始めようとするにあたって、高齢、老齢であることに二の足を踏んでしまいそうな時に頭の中に響いてくる。
大丈夫、歳を取ってからでも十分にそこそこのモノになる可能性はある、と。
大事なことは、始めたからには何かを後に回さず、集中して、とれるだけの時間をつぎ込んでやること、これだと思う。
歳をとると計画を組んでしまいがちで「きょうはこれでいいや」「残りは明日」となりがちだ。
そうじゃない。
今日、まだ余力があればそれがつきるまで、疲れて頭に入ってこなくなるまでとことんやるべきなのだ。
仕事の場合ならいざしらず、自分が好きで始めようとしたことであれば、その動機が鮮明なうちに、できるかぎりのところまで全力で走ることが大切なのだ。
我々は小学校、あるいは中学校の義務教育時代に、カリキュラムにそった学習というのを経験している。
あれはやりたいこと、しなければいけないことが無数にある幼い時期だからこそ有効な側面もあるのであって、老齢になると、やる気があるうちにできるだけのことはした方がいい。
それが高齢になってからの趣味を長続きさせる秘訣だと思う。