火星の月の下で

日記がわり。

変態振飛車・窪田五段の将棋講座

個性派、と目される棋士、例えば現在B級以上だと、藤井システムの藤井九段とか、異常感覚の福崎八段とかがいるけど、二人ともタイトル経験者だし、上位に行ってしまうと、個性派=実力派、という感じになるので、そんなに風変わりな将棋、という感じはしない。捌きの名手久保八段とか、ちょっと古いけど森下システムの森下九段等にしてもそうだと思う。
下位の棋士を見てみると、一世を風靡した85飛戦法の中座五段、昨年大ブレイクのゴキゲン中飛車・近藤五段、あたりは十分個性派だろう。実力もあるし、将来もう少し上のクラスにまで来るかもしれない。
あと、少し前なら、カニカニ銀の児玉七段、筋違い角の武市六段なんかも挙げていいだろう。
そういった過去・現在の個性派棋士に比べて、窪田五段というのは、一般への浸透度はもちろん、普通の将棋ファンの間でも、それほど知られている存在とはいえない、と思う。東京出身の33歳、クラスこそC級1組と、一度は昇級経験をもつものの、C級2組では降級点を2回もとっているし、C1でも現在降級点が1つある。*1調べてないのでわからないけど、C2で降級点を2つもとって昇級した棋士はそう多くないはずである。C2から昇級することもなく、老齢で衰えてフリークラスで終わる一生を送る棋士も多いのだ。これも調べてないのであくまで感覚だけど、半分から2/5くらいの棋士はそうだと思う。そんなわけで、弱い方ではないだろうけど、それほど実力派、という感じもしない、棋譜さえ知らなければ、名前くらいしか記憶に残らないかもしれない、そんな感じなのだ。
ところが、この窪田五段、一部の棋譜マニアにはとてもよく知られた、まさに知る人ぞ知る、という超個性派棋士なのだ。
振り飛車党なのだが、ものすごく変わった振り飛車なのである。例えば近藤六段のゴキゲン中飛車なんかは意図が明快で、序盤から工夫があって一貫しているので、定跡ではないけど、棋理にかなった感じがする。藤井九段のシステムや、久保八段の捌きにしても、あまり他の人がしなかった、というだけで、理にはかなってるし、実際それで数多く勝っている。
しかし窪田五段の振り飛車はよくわからない。わからないのに、なにやら変てこで面白い展開になっているのだ。人呼んで「変態振り飛車」。たぶんご本人はこんな言われ方をするのは嫌だろうとは思うのだが、まさにそんな感じである。変で面白いのだ。
その窪田五段が囲碁将棋チャンネルで将棋講座を始められた。今日がその第1回で、棋譜はときどき見ていたものの、本人の顔を見るのは始めてである。丸山九段をちょっと男前にしたような感じで、しゃべりもハキハキしていて聞き取りやすく、好感がもてる・・・と、ぼんやり録画するでもなく聞いてたのですが、面白い。棋譜だけでなく、本人もかなり変で面白い。うう、録画しとくんだった。再放送はあるのかなぁ。
やってることは相振りの金無双のこじあけ方、みたいなことで、そう目新しい印象もなかったんだけど、緊張してるのか、扇子の使い方とか、着眼点とかが普通ではない。
将棋に興味がない人なら気づきにくいだろうけど、ある程度こういった講座や棋譜を見慣れていると、感覚がちょっととんでる感じがする。
たぶんヲタク仲間に見せても、理解はされないだろうけど、ひそかな楽しみとして、次回から録画しておこう。
私自身は居飛車党なんで、相振りはあんまり関係ないんですけどね。(^_^;
それにしても、こういった面白い棋士に、もっと前面に出てきてほしいもんです。でも、これ以上の昇級は無理かなぁ。

*1:C2は降級点3でフリークラスへ降級、事実上の引退勧告である。C1、B2は降級点2で降級。