火星の月の下で

日記がわり。

内藤九段、引退表明

内藤國雄九段が引退表明 将棋現役最年長、体調不良で

将棋のトップ棋士として活躍してきた現役最年長の内藤國雄九段(75)=兵庫県西宮市=が7日、3月末をめどに現役を引退する意向を明らかにした。理由について内藤九段は「膝と腰の痛みで長時間の対局が難しくなったことに加え、コンピューター全盛の現代将棋と私の棋風が合わなくなった」と話している

あああ、ショックや。
数年前から膝を悪くされてて、対局に支障が出るほど足が痛む、というのはニュウス等で聞いていたけど、ついにこの日がやってきてしまった。
思えば将棋の対局に「華」を感じさせてくれた最大の棋士だった。
内藤先生以前から相がかりや横歩とり、ひねり飛車の戦形はあったし基本形態は確立されていたけど、内藤九段の登場によって、それがさながら剣戟でも見ているかのごとき華麗な戦いを盤上に示してくれるようになった。
棋譜を読んでいて、そしてならべてみて「面白い」を最初にそして最高に実感させてくれた棋士だった。
有名な中原十六世との棋聖戦で見せてくれた「空中戦法」は言うまでもなく、独特のひねり飛車や角換わりなど、その着想のすばらしさ、おもしろさに何度舌をまかされたことか。
A級を去り、タイトル戦でも見ることはなくなってしまったここ最近においても、序盤の構想の面白さは健在だったし、年齢的にはロートルと言ってもいいのに、60を越えてからの棋譜もならべて面白いものが多かった。
最後にNHKに出られときも、解説の阿部八段を通じて「足が痛いので胡座を組む無礼を許してほしい」というコメントが紹介されて、引退はかなり近そうだな、とは感じたものの、それでも一年でも長くやってほしかった。
終生のライバルと言っていい有吉九段がC級2組で降級点を3つとり、ボロボロになるまでがんばられた姿を見ていたので、ファンとして無責任にも同じことを内藤九段にも期待してしまっていたのだか・・・やはりそうとう体調が悪かったのであろう。
天下を取った棋士、たとえば木村十四世、大山十五世、中原十六世とは別に、ほんとうに「面白い将棋」を我々の前に見せてくれた偉大な棋士だった。
将棋棋士史上、いちばん好きだった棋士だし、たぶん今後もそれは変わらないと思う。
内藤九段、ご苦労さまでした。そして数多くの素晴らしい棋譜を残してくれてありがとうございました。
場末のファンではありますが、今までの健闘に心から拍手を送りたいと思います。
どうか今後はしっかりとご養生されて、後進へのよき指針となっていただけたら、と思います。