火星の月の下で

日記がわり。

B級2組・9回戦

順位戦・B級2組(昇級枠2人)は、第8局で1敗者がいなくなったため、全勝の畠山(鎮)六段が全勝をキープし、早々と昇級を決定。第9局でも、まさに無人の野を行くがごとき勢いで勝って9戦全勝。
というわけで、1人目は早々と決まってたんですが、2人目が大混戦。
なんと、第9局目で、2敗の屋敷九段と森九段が敗れたため、2敗者もいなくなってしまった。第8局終了時点で、南九段が敗れたため、2敗上位の屋敷九段と森九段が最終局で直接対決があるので、たぶんこの2人の勝った方で決まりだろう、と思われていたのが、そろって敗北。
これで、誰が昇級するにしても、3敗者が昇級という、近来稀に見る珍しい星取りになってしまった。
3敗になった屋敷と森が最終局で戦うため、4敗者からの昇級はさすがになし。(あったら事件だった)
これで昇級の目を残しているのが順位の関係で、内藤九段が自力(8位・6勝3敗)、以下、杉本六段(9位・6勝3敗)、屋敷九段(12位・6勝3敗)、森九段(18位・6勝3敗)の4人にしぼられることとなった。
で、俄然ここで注目を集めることになったのが内藤九段。なんと66歳。
いやぁ、今期は第4局終了時点で2勝2敗だったので、たぶんないだろう、と思ったら、ここにきて自力ランプがついてしまいました。なんつうか、すごいことです。
今、A級の最高齢が先日史上5人目の1100勝を達成した谷川九段で43歳、それ以外は全員30代。
B級1組の最高齢が青野九段52歳なんですが、青野九段、残念ながら降級が決まってしまいましたので、来期はB級2組。よって内藤九段が昇級しないとすると、最高齢は高橋九段の44歳ということになります。
B級1組は、定員13人で、30代が10人、40代が2人、50代が青野九段一人、という図式でした。
もし来期、内藤九段が昇級を果たすと、67歳でB級1組ということで、ちょっとした話題になりそうです。
順位戦の最高齢記録としては、なんといっても大山十五世の、69歳A級というのが燦然と輝きますが、それ以外ですと、有吉九段の60歳A級、故・花村九段の60歳A級昇級とかありますが、昇級記録ですと、この花村九段と、内藤九段の6年前の60歳昇級(B2→B1)だと思います。
ですから、内藤九段が昇級すれば、自身の記録更新、ということで、ものすごいことです。
将棋は碁と違って、若い方が圧倒的に有利で、個人差もありますが、だいたいピークは25歳から35歳くらい、と言われてて、後は少しずつ下がっていくわけなんで、高齢になっても、地位を維持する、ってことは大変なことなわけです。
もっともまだ決まったわけではなくて、最終局、勝たないといけないわけで、そんなに楽な相手でもないので、正直昇級できるか否かは半々くらい、と思ってるんですが・・・、昇級してほしいですなぁ。
内藤九段、というと、一般には「おゆき」を歌った将棋棋士、という印象が強いでしょうけど、棋譜マニアとしては、盤上大駒がかけまわる『空中戦法』の創始者として名高く、棋譜を並べたときの楽しさは、恐らく過去の棋士を含めてナンバーワンだと思う。
そんな意味でも、内藤九段には、ぜひ再び日のあたる場所へ戻ってきてほしいものであります。