火星の月の下で

日記がわり。

C1最終戦でドラマが。

順位戦もA、C1で最終戦があり、すごいドラマが待ち受けていた。
とりあえず、A級。
2敗がいなくなったため、1敗の谷川、羽生に絞られ、結局両者ともに勝ってプレーオフ、まぁ、こっちは予想通り。
問題は降級の方で、8回戦終了時点で、2勝の鈴木(順位8位)、久保(3位)、3勝の森下(9位)、三浦(7位)まで降級可能性があった。
ドラマは、久保―藤井戦で起こったらしい。
夕方休憩あたりで、藤井優勢。久保が敗れた場合、順位下位で、ほとんど絶望だった鈴木、森下、三浦に残留の目が出てくるので、俄然面白くなるところだったが、ここから、藤井がまさかの失速。
久保に逆転負けを喫してしまう。
順位のいい久保はこれで残留。この結果、自身の対局結果に関わらず、鈴木の陥落が確定。結局、鈴木は勝ったにも関わらず、降級が決定してしまった。
降級はこの結果、鈴木と羽生に敗れた森下、ということになった。
もっとも棋譜はまだ見てないので、毎日に載る最終局、久保―藤井戦は楽しみにして待ちたいと思う。
この久保―藤井戦でドラマがあったのだが、4日後のC1では、もっとすごいドラマが待っていた。
C1も、2敗者がいなくなっていたため、全勝の山崎が、第10局で昇級を決め、残り枠一つが1敗の渡辺竜王(6位)と岡崎(19位)の2人にしぼられた、という展開である。
順位の関係で、両者勝ちなら渡辺、両者負けでも渡辺が昇級で、岡崎は自身が勝って、かつ渡辺が敗れたときのみ昇級である。
対戦相手が、岡崎が中田功、渡辺が窪田だったので、下馬評というか、外屋の予想は両者とも勝って、渡辺竜王の昇級か、という予想が一番多かったと思う。私もたぶんそうだろう、と思ってた。
ところが何がおこるかわからない順位戦、昇級が決まってから、すごいドラマが待っていた。
まず岡崎―中田戦。こちらが先に終って、まさかの岡崎負け。
この瞬間、渡辺の昇級が決まったのだけど、対局中なので、そんなことを言いに行く人はいないし、結果を途中で教えるのはマナー違反である。従って、渡辺は、岡崎が破れたことも知らず、黙々と盤前に集中していたはずである。
対するは、以前少し書いた、我らが変態振り飛車の窪田五段である。
実はこの両者、ブログを持っていて、決戦前に意気込みを書いていてのだが、竜王のほうは普通に「頑張ります」だったのに対して、窪田は「親友(岡崎のこと)のために頑張る」と言って、自身は昇級も降級も関係なくなっていたにも関わらず、決意表明をしていたのだ。この、自身の昇降に関係なく、相手にとって大事な対局こそ頑張るという米長哲学、将棋界ではほぼ常識となっている考え方だ。
とはいえ、次代の若手の代表格でもあり、竜王位を既に2期保持している渡辺の方が断然強い、と大方は見ていたと思う。
この棋譜は、ネットにも上がってたので、少しだけ並べてみたのだが、窪田が序盤から独特の振り飛車にくみ上げて、穴熊模様の渡辺からポイントを奪う。終盤に少し緩手が出たらしく、少し間は詰ったものの、深夜の激闘の末、窪田の勝ち。
この辺の簡単な棋譜説明は、竜王のブログに盤面図入りで載っています。
こういう敗局でも、世間の注目の高い将棋はしっかりと解説してくれる渡辺竜王も偉いと思う。先の山崎戦での敗局も、解説してくれておりました。
さて、当然、岡崎が勝っている、と思っていた渡辺は、がっくりとうなだれてしまい「バッカじゃないか」ともらしたらしい。
私は見ていないが、有料速報でのこの渡辺の様子が報告され、体育すわりで落胆している写真が上がったらしいのだ。
竜王のブログによると、その後岡崎も負けたことが伝えられたらしいけど、いやぁ、なんか順位戦の恐さ、一断面をまざまざと教えてくれる一戦だったようだ。
最終局に勝っても残留に届かなかった鈴木八段、最終局に破れて昇級を決めた渡辺竜王、劇的ですなぁ。
さて、一方の窪田五段、昇級降級には関係なくなっていたが、これで7勝3敗。
勝ち越したことで以前の降級点も消え、来期は順位も上がるので昇級の可能性も高くなってきたと思う。期待しております。・・・こんな場末のブログで書いても読んでないとは思うけど、関東方の棋士では一番好きな人なので、来期の活躍を期待しているところ。
たしかNHK杯の出場も決まったらしいので、全国にあの変で面白い振り飛車が登場するのかと思うと、なんかワクワクします。(^_^)
さて、C1では早々と全勝で昇級を決めていた山崎の方も、すごい将棋だったらしくて(この人の将棋も実に個性的なので、大好き)持ち時間6時間の将棋なのに、夕食休憩くらいで終ってしまったらしい。
いや、これもすごい。渡辺竜王ともども、来期、B2での活躍を期待しているところ。