火星の月の下で

日記がわり。

ロロ系諸語

ロロ、という名を聞くと、ヴァイキングの巨体王の名を連想することが多かったが、最近は、東南アジアの少数民族、ロロ系諸語のことを連想するようになった。
ロロ系諸語というのは、雲南省から東南アジア山岳部にかけて住む少数民族の一派で、言語系統としてはシナ・チベット語派に属し、ビルマ語、及びビルマ系諸語と近い関係にある、と見られている言語を話す一派である。
独自の国を持つわけでもなく、文字体系も、支那側、タイ側、ミャンマー側でそれぞれ違うため、それほど系統がしっかり研究されつくしているわけではないが(それでも支那〜東南アジアの少数民族としては、そこそこは進んでいる方)概ね、リス語、ロロ語、アカ語、ラフ語の4系統に別れている、くらいはいえるようだ。
支那での呼び名、ハニ語をアカ語に、イ語をロロ語に含めることも多いようだが、これが方言の範囲なのか、独立した言語と扱ってよいのかは、ちょっとまだわからないので、とりあえず、ではあるが。
さて、我々民族衣装愛好家にとっては、このロロ系諸語、けっこうなじみのある名前で、アカ族、ラフ族もそうなのだが、とりわけリス族というのは、極彩色の実に美しい民族衣装を有していることで知られている。
民族衣装については、支那政府が関わった、支那国内の少数民族衣装図鑑というのが早くから出ていて、かなり高価なものも多いが、日本語版でも何点かは出ている。
が、なんといっても、民族衣装ファンの耳目を集めたのは、巡遊社の『タイ・黄金の三角地帯』で、この中に、支那少数民族衣装ではイラストでしか紹介されていなかった、リス族の日常やら、生活の中の民俗衣装やら、都会化の波の中で消えていこうとする風俗やらが写真で修められ、けっこうなインパクトを残してくれたのだった。
以後、支那側の民族衣装図覧等でも、写真つきのものが増えてきて、かつてのものより一層値段ははるようになったけど、さらに優秀で鮮やかな民族衣装がおがめるようになった。
最近では、タイ北部だけではなく、ミャンマー雲南省でも、少数民族の展示や祭、パレードなども増えてきたようで、一般の目に入る機会も多くなってきたように思う。もっとも、まだ見せ方、という点では、タイ北部のものの方が進んでいるようには感じるが・・・。
さて、その言語。
独自の文字はもたないものの、比較的現代語の研究はすすんでいるようで、例えばリス語だと、
1.6声調、2.補足語が動詞に先行する、主-補-述の語順、3.張り母音と緩み母音の対立と、単母音、二重母音、鼻母音の3系列、4.人称代名詞の単数、複数、等の特徴があり、
ロロ語だと、
1.4声調、2.補足語が述語に先行する、主-補-述の語順、3.張り母音と緩み母音の対立、4.人称代名詞に、単数、複数、双数の区別があること、等が知られているようだ。
この特徴は主に支那国内のものだが、今後タイやミャンマーの山岳少数民族側にいるロロ系諸語の分析もいろいろと出そろってくることと思う。
まぁ、こういった言語を母語とする人となにか交流できる機会とかはないだろうけど、少し勉強はしてみたい気持ちになっているところだ。