火星の月の下で

日記がわり。

人文

ティークとシュレーゲル兄の沙翁訳。

昨日の記事、船に乗り込んだ教授の側にいろいろ問題があったみたいだけど、ポイントとして現状の報告の方に興味があったし、同時的な感想という意味合いもあるので、とりあえず残しておく。さて、まだまだ続くよ、Projekt Gutenberg。 ティークとシュレーゲ…

ドイツ解釈学

(1)Übersetzung かつて、深田先生のドイツ語講読会に出たことがあり、そこで「異言語をどのように読むか」という訓練をしていただいたことがあった。 その講読会は、分類上[上級講座]だったこともあり、深田先生が選ばれたテキスト(一応未邦訳のものば…

ハンガリー文化史概要

書架より今岡十一郎『ハンガリー文化史概要』(審美社、1969年刊行)を引っ張り出してきて拾い読み。今の文化史、文学史なんかに比べると記述のスタイルが少し古いめかしいけれど、日本語で読めること、そして完結にまとまっていることなんかがたいへんあり…

ロシア語たんのキリル文字講座

「キリル文字講座」(twitter:470503) 3年ほど前のつげった、だけど、ちょい興味深かったのでメモがてら。キリル文字の学習って、初心者の頃はけっこうタイヘンだったのだ。

『消えたイングランド王国』を読む

新書なので学術書ではないのだが、そのあたりに一番の驚きがあった。だってノルマン・コンクエストだよ?高校の世界史で普通に出てくる用語だから、ことばとか意味くらいはたいていの日本人は知ってるけど、それの前後におけるイングランドの情勢が、新書に…

世界の言語状況

A world of languagesなんかちょっと面白そうだったので、資料的な意味でリンクしとく。これの言語文字版みたいなのもあると嬉しいのだが・・・。

リカルダ・フーフのDie Romantik

「野は童子たちにとりて、小さな妖魔どもの踊り場か、魔法にかられた姫が黄金虫となってさまよう魔の森か、あるいは若き王子の座所なのであろうか。大人どもあまりに早くそれを忘れてしまう。」・・・新ロマン主義とも言い換えられた表現主義の時代が終わって語…

漢字教育

あえて人文タグをつけて書いてみる。 韓国小学校教科書に漢字併記決定でハングル団体は大反発……教師も漢字知らないのだけども(楽韓さんの記事より)引用元の新聞の方にリンクをはりたいのだけど、半島系の新聞のwebページはすぐに消えるのでこちらを。 ハン…

クスンダ語

ネパールの少数言語、母語の消滅を憂う「最後の話者」 話者の数が極端に少ない少数言語、というのは、ネイティヴ・アメリカンのものがよく知られていて報告なども見るのだけど、当然のごとくそういった消滅寸前の言語は世界中にある。その中の一つ、ネパール…

Reclam die Deutsche Literaturの補完

邦語で書かれたドイツ文学史が、いずれも帯に短し状態なので、このレクラム文庫のシリーズは愛読している。寝っころがって拾い読みするにはちょうど良い。特に、Mittelalterの1と2、疾風怒濤時代、KlassikとRomantik、表現主義にダダイズムってあたりはも…

西ゲルマン文学600年周期説と中間の沈滞期

最近はとんと言われることが少なくなったようだが、半世紀くらい前までの文学史著述ではちょくちょく書かれていたドイツ文学600年周期説。現在ても岩波文庫別冊の『ドイツ文学案内』でもその残滓が見える。1800年頃*1と1200年頃*2にドイツ文学の隆盛期があっ…

中世前期アングロサクソン文学(二)〜アルフレッド王以前

承前。時代としては昨日記載したようにだいたい5世紀末から1066年まで。繰り返しになるが、1066年をもってカラッとOE時代からME時代に移るわけではないが、アングロサクソン文学史においてはこの1066年以降のノルマン征服というのが大きな節目になるため、…

中世前期アングロサクソン文学(一)〜古英語の時代

古高ドイツ文学をいろいろいじっていて、アングロサクソン文学について触れていないのも片手落ちなので、英文学、英語学は専門ではないんだけど、少しばかり覚え書き。 まず、時代設定。古英語の時代というのは、通常ローマ軍が400年頃にブリテン島を引き上…

岩波版シャクンタラー姫

戯曲全集でもう何度も読んでいたんだけど、本屋で見かけたのでつい購入。一応所有しているものと訳者は違うし、原典はとても読めないので違う訳のものは複数あっても良いだろうと思ったのと、文庫サイズだと寝っころがって拾い読みするのにも良いだろう、と…

三島由紀夫は63年の候補ファイナルに残っていた

三島、63年ノーベル賞候補 最終6人に残り、あと一歩 小説家の三島由紀夫(1925〜70年)が1963年に初めてノーベル文学賞の候補になっていたことが3日、選考主体のスウェーデン・アカデミーの新資料で明らかになった。三島は「技巧的な才能」に注目され、最…

怪奇小説日和(ちくま文庫)を購入

Amazonで「おすすめ」されていたので、購入しようかどうしようか少し迷っていたら近くの書店に新刊として入っていたので、Amazonで買うより書店で買う方がよろしかろうと思い購入。内容は後書きにもあるが以前出た『怪奇小説の世紀』からの抜粋と新訳をいく…

次のノーベル文学賞候補

村上春樹の次の日本人ノーベル文学賞候補がいない なかなか面白いまとめ記事。この中にも出てくるが、私も邦人ノーベル文学賞の最右翼として多和田葉子を上げたいと思う。個人的には村上春樹よりも多和田葉子の方が先なんじゃないか、あるいは「21世紀のノー…

『隅の老人』最終話の物語技法

本名も素性もわからぬ謎の老人が、カフェの片隅で座りながら女性記者相手に悪魔的な皮肉を交えつつその推理を開陳する、バロネス・オルツィの『隅の老人』を創元推理文庫版で読んだ。時に安楽椅子探偵の代表のように言われるこのシリーズを最初に読んだのは…

古典シリア語ではない

シリア紛争といっても、いわゆる古典シリア語地域ではないのでどうもピンとこない。我々古典言語マニアにとっては、コプト語、イリリア語、アルメニア語なんかとともに、その名を出されるだけでビンビンきちゃうんだけど、いまのシリアはシリアであってシリ…

ちくま文庫版『ローマ帝国衰亡史』

ちくま文庫版ギボン『ローマ帝国衰亡史』を通販で注文してボチボチ読んでいるところ。昔の岩波文庫版より読みやすい、というので購入してみたんだけど、文の堅さという点ではどっこいどっこいかな。ただまぁ旧カナじゃないので、そのあたりはちょっとだけ楽…

ドストエフスキー小説の家系図便覧

ドストエフスキーの栞・・・これは良い。すごく良い。今のところ3作だけだけど、人物相関図と家系図がコンパクトにまとめられている。pdfなのでプリントアウトして座右に置きながら読み進めるのも良い。こういうのって人名が長くてややこしいと言われるロシア…

ピー

ラノベ系アニメを見ると、もう頭痛がするくらい悪魔、魔女、神(欧米系)がテンコ盛りで、ここ20年くらいでようやく北欧関連が増えてきたようだけど、依然として西欧系が主軸。一応和風ものもあるにはあるけど、記紀すらまともに読んでねーんじゃねーか、と…

世界史講座

『ドキドキプリキュア』第7話を見てたら、トランプ王国とキング・ジコチューの戦いがまるで初期英仏百年戦争みたいだったので、少しばかしメモ。 ・マリ・アンジュ。トランプ王国王女。アンジュー王国の暗示だよね。プランタジネット側だけと、攻め込まれて…

東南アジアの現代文芸

アジアの現代文芸新聞に「東南アジアの現代文学」と題して紹介程度の簡単に記事が載っていたので、サイトを見にいったのだが・・・。これ、90年代に出たやつだよね、なんか新しいのが刊行されたのかと勘違いしてしまった。とはいえ、90年代前半に出たときもタイ…

スペイン文学案内(岩波文庫)

以前、各国文学案内と題して、岩波文庫が独、仏、露、希羅古典、についで、各国文学案内を出すならどこになるのだろう、と書いたことがあった。今年、ようやく半世紀近い年月を経て5番目、国としては4番目の文学案内が出た。さすがに前の4冊が出てから半…

中世英文学史を読む

厨川文夫氏の『中世英文学史』『英語音韻史』を書架から引っ張り出してきて読書中。これはたぶん一般に売られていたものではなく、大学のテキストだったもののようだが、すこぶる面白い。中世英文学史において、ノルマンコンクエストの影響がいかに強烈だっ…

「ローマ帝国の滅亡」を読んで

塩野七生著『ローマ人の物語』最終巻「ローマ帝国の滅亡」を読了。ちなみにハードカバーの方ではなく、新潮文庫本の方(41〜43に相当)なので。 ギボンやモムゼンを読み慣れていた者にとってはかなり物足りない内容だったのだが、よくよく考えてみると、史書…

初期ノーベル文学賞とモムゼン

「古代ローマの歴史」について、少し考えをまとめておきたいので、ギボンとともにこの研究の大家であるモムゼンについて少しだけ書いておく。まず彼が受賞したノーベル文学賞について。 よく知られているように、テオドール・モムゼンは第2回ノーベル文学賞…

印欧祖語誕生の地

「全ての言語はトルコに通ず」 英語もヒンディー語もルーツは同じ? トルコ、というのは民族としてのトルコではなく、土地としてのトルコ、古代のアナトリア、あるいはヒッタイトの拠点だった地。でまぁ、英語もヒンディー語ルーツは同じ?・・・と書かれている…

宮下啓三先生

訃報:宮下啓三さん75歳=慶応大名誉教授慶應では、タテマエとして福沢諭吉だけを「先生」とし、教職員であっても、告知等では「○○君」とされるのだが、やはり恩師としての敬意から、宮下先生、と書いておきたい。 以前にも少し書いたけど、大学は2つ行った…