火星の月の下で

日記がわり。

毎日新聞将棋欄に思う

年の瀬だが特になにかをするでもなく淡々と1日を終えようとしている。
新聞は明日から元旦体制となり、将棋欄順位戦も本日の丸山九段−行方八段戦をもって一段落し、新年から別のA級の棋譜が載ることと思う。
そこで少しばかり前々から気になったことを書いておく。
何年か前から、4月の名人戦にあわせて、対局と棋譜を同時進行させるようにしてしまった。
始まった当初は、ほぅ、斬新やな、と思いつつ見ていたのだが、何年か続くと、むしろその欠陥の方が大きく感じ始めてきた。
つまり、名人戦と同時進行させるために、それまでにA級の棋譜をすべて終わっていなくてはいけないことになる。
その結果どうなるか、というと、第8局、最終第9局が駆け足になってしまうのだ。
1局あたりに割かれる紙面がかなり圧縮された印象になる。
A級順位戦の最終2局というと、どれもたいてい熱戦になる。
まぁ、年度によっては、最終局を待たずに名人挑戦者、降級者が決定してしまっていることもあるが、だいたいラスト2局はすばらしい熱戦になる。
このラスト2局がかなりあっさりと終わらされてしまう、そんな感じがとてもする。
そうすると、名人戦の同時進行によって得られるメリットと、この熱局を圧縮してしまうデメリットとを考えると、私にはデメリットの方が大きいと思う。
いまや新聞がまとまった情報をいち早く知るメディアではなくなってしまっているし、どうせ1ヶ月もすれば将棋世界なり週刊将棋なりで詳しい棋譜解説は読めるのだ。
もちろん、結果がわからぬ(と想定して)段階での次の一手を探る楽しさ、というのも新聞欄の使命としてはあるが、これは仮に棋譜が知られていても成立するんじゃないかと思うし、現代の情報の速さを考えると、新聞でさえ既に棋譜情報は出ている、と考えても別におかしくはないと思う。つまり棋譜の速報性というメリットはあまりないと思うのだ。
それに、千日手持将棋なんかが出たらどうするんだろう、という気も少しあるし。
もちろんそうであっても、同時進行のメリットは幾分かはあると思うけど、A級ラスト2局を圧縮してまでやるメリットとはとても思えない。
誤解のないように書いておくが、観戦記事の内容そのものに対する不満ではない。
確かに観戦記者の考えとまったく会わないこととかもあるが、概ね棋譜記事に関しては楽しく読ませてもらっている。(これは毎日に限ったことではないが)
名人戦の記事が、同時進行ゆえに、極端にうすまっていると感じることもある。手が1手、3手くらいしか進まない、ということも過去にはあったからだ。こんなに薄めてしまうのなら、あのA級のラストをもっと詳しくやってくれよ、という想いがかなり強くしてくるのだ。
そういったことに比較的左右されない夕刊のB級1組以下の棋譜、あるいは3段リーグの好局なんかはいつも面白いし、満足度が高いだけに、A級記事のいびつさが気になって仕方のないところだ。
朝日新聞と共催になってしまったので、これはもうとめられないような気がするが、できることなら昔に戻してほしい、と切に願っている。