火星の月の下で

日記がわり。

囲碁将棋チャンネルで、王将戦・第1局の特集

昨日になるけど、囲碁将棋チャンネルで、1月17,18日に徳島で行われた王将戦・第1局の特集をやっていた。
「まぁ、いつもの棋譜解説だろう、最近角換わりを勉強してるし、第1局は確か角換わりだったはずだから、勉強になるだろうからちょっと見とくか」くらいの軽い気持ちでチャンネルを合わせた。
するとびっくり、なんとまさに「特集」だったのだ。
この第1局は場所こそ徳島だが、そこの美術館でやったらしく、大きな壁画を背景にして、プロレスのリングみたいな感じで会場が設営され、しかも終局まで公開対局、というとんでもない設定だったようだ。
会場の設営シーンに始まって、両者の徳島入り、対局のようす、解説者による棋譜解説、東京の会館との2元中継と、なんかとんでもないものを見せていただいた気分だ。
棋譜解説も、現地の阿部八段に東京の佐藤棋王という、トップ棋士(2人は、同門の兄弟弟子でもある)によるものがしっかりとあったので、棋譜解説番組としても満足のいくデキだったが、現地解説と実況をかねているようなところもあったので、臨場感たるや半端じゃない。
とにかくものすごいタイトル戦だったようで、以下、気に入った点をいくつか列挙しておく。
1. 会場が美術館の特設ステージ。
上にも書いたけど、なんか感覚としては、ブロレスのリングみたいだった。
非常に広く、かつ高い天井のある会場に、高台と畳が設営され、そこで両対局者が向き合い、その向こう(画面奥)に立会いの有吉九段、副立会い兼棋譜解説の阿部八段、記録の吉田四段なんかがすわり、画面手前には、かなりの距離を置いてはいたものの、公開対局を見に来た人が、ズラーと入っているのである。これは壮観だった。
2. 最期まで公開対局。
タイトル戦や重要棋戦の決勝なんかで一般公開になることはあるが、たいてい対局している部屋の片隅にちょこっとだけ入れてもらって雰囲気を味わうだけだったり、時間も2日制度だったら初日、1日制だったら大勢が決する前の夕方まで、というのが普通で、最期の決着がつくまで多くのファンの見ている前で展開する、というのは、見ていて普通に驚きだった。
こういう対局スタイル、なんかこれからの棋戦のありようのひとつになるかもしれないね。
新聞棋戦というのが、今後下り坂になるだろうから、なにか新しいスタイルを作っていかばならない。
テレビ将棋とともに、こういうリングスタイルな公開対局、というのも、ひとつの選択肢になるのかもしれない。
3. 臨場感あふれる棋譜解説。
最近、特に関西に引っ越してきてからはあんまり行ってないけど、棋譜解説というのは、A級最終局とか、名人戦なんかで何度か行ったことがあるので、あの独特の緊迫感、というのは知ってはいたものの、テレビで見ると、また違った感慨があるね。
普段の囲碁将棋チャンネルでの「名局の解説」「棋士○○特集」「タイトル戦解説」「連盟が選んだ好局」なんかを見てる目には、既にできあがった、評価も定まったものが取り上げられていることもあって、完成品の解説を見ている気分である。
もちろん、それも良いものなんだが、今目の前で刻々と展開される情景に対して、解説者も一緒に悩みながら考えていく、という面白さ、緊迫感。
加えて、関東(佐藤棋王)と関西(阿部八段)とに分かれてしまっていても、兄弟弟子でともにトップ棋士である2人が適度に冗談を交えながらの熱い解説は、映ったのはごく一部だったけど、それでも十分面白かった。
特に面白かったのは、挑戦者深浦王位が羽生王将と読み筋があう、という話になったとき、阿部八段が「佐藤さんはあまり誰とも読み筋があわないでしょう」とふったときに、棋王がすかさず「それは2人(深浦と羽生)が正統派で、私が異端だと言うことですか」と笑いながら返しててたりしたあたり、普通に面白いトークショーのようだった。
という風に、ここ数年の対局の様子としては、群を抜いて面白かった。
こんなに面白かったんだったら、わしも徳島に行けば良かったなぁ、と思ってしまったくらいだ。