火星の月の下で

日記がわり。

ホフマン作曲ハープ五重奏曲ハ短調

E.T.A.ホフマンの音楽的業績を見ようと、「ホフマン・室内楽」を購入。
以下にそのCDのデータ。
・ハープ五重奏曲ハ短調。編成はハープ、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ。
ピアノソナタ イ長調
ピアノソナタ短調
・グランドトリオ ホ長調。編成は、ピアノ、ヴァイオリン、チェロの、所謂ピアノ三重奏
・演奏。ハープ:長沢ますみ、弦四:ホフマイスター四重奏団、ピアノ:荒木紅、ピアノ三重奏:トリオ・マーゴ。
・レーベル:Profil。
ハープ五重奏曲がなかなかの名曲。
正確な作曲時期は不明のようだが、だいたい19世紀初頭、1807年頃と推測され、古典派の晩年というよりも、ロマン派初期の音楽を思わせる。
3楽章構成で、第1楽章:Allegro Moderato、第2楽章:Adagio、第3楽章Allegro。
第1楽章、第3楽章が短調で、暗い情熱をリリカルに歌ってくれている。
また、ハープの弦へのからみ方もなかなか情緒的で、幻想的な、そして哀愁のこもったメロディ、パッセージが聞いていて心地良い。
全体は、ハ短調の昏い詩情が支配的で、この時期の作品としてはそろそろ珍しくなりかけた短調終止をしている。
とりわけ第1楽章冒頭のメランコリックな音楽には、ある種の感動と霊感が詰まっていて、かなり聞きほれてしまう。これはぜひ楽譜がほしいところだなぁ。。。
以前、歌劇ウンディーネを聞いたとき、決してアマチュア楽家の手なぐさみではなく、十分音楽家の作品として鑑賞できる水準にはきている、と思ったが、このハープ五重奏曲に関しては、作者の文学的盛名を考慮にいれずとも、十分初期ロマン派の佳曲として通用すると思う。
ただし、あとの3曲はかなり凡作。駄作とまでは思わないが。
ピアノソナタの2曲は、もしこれが大作曲家の作品なら、若書きの習作という評価になっていたと思う。
楽曲の構成は、古典を理解したうえでの構想の新しさ、なども感じるが、肝心の音楽部分がかなり淡白に感じる。
ヘ短調の方が、ハープ五重奏曲と同じくちゃんと短調終止しているので、そういう点での安心感はかなりあるのだが。
ピアノ三重奏曲の方は、まだいくぶんましかと思うけれど、これもハープ五重奏曲のように、感動を誘う、というレベルまではきていないようだ。
こういうデコボコ感が大作曲家との差、なのかも知れないが、それにしてもアマチュアの領域ではないし、数多くの当代一流の職業音楽家の作品が時代の中に埋没していったことを思うと、そこそこの水準なのは間違いない。
ということで、このCDでは、ハープ五重奏曲、という佳曲に出会えた、という点で、意義があったし、今後も愛聴していきくたいと思う。
ホフマンの音楽、資料的な意味以上に、もっと聞いてみたくなったなぁ・・・。