火星の月の下で

日記がわり。

◎藤田淑子さんと人形劇『伊賀の影丸』

思い出のキャラ図鑑 第16回「藤岡豊さんとテレビ人形映画『伊賀の影丸』」・・・を読んでいて、少し驚いたというか、すっかり失念していたことがあったので、メモがてら記録しておく。

だが声優のことで躓いた。肝心要の影丸の声優が決まらない。私の感性に合う人が出て来ないのだ。映画の音付けはアフレコだから、まだ日日(ひにち)はあるものの、クランクインが迫って来ているので私は気が気じゃない。
そしてとうとう決められないまま、シュートの日を迎えてしまった。それから三日後、黒沢良さんからスタジオに電話が入って、「まだ中学の女の子ですが、監督さん聞いて頂けますか?」
「はい。」
「じゃ、その子とかわります。」そして瞬時の後、「お電話変りました。藤田淑子です。『伊賀の影丸』の影丸を読んでみます。」
そう言って読み始めたのを聞いた途端、私は「いい感じた!いけそうだぞ!」と感じたが、「もう少しは聞いてあげないと…」と早る心を抑えて聞いた。
そして、トコちゃんこと藤田淑子さんに影丸の声をお願いすることにした。

影丸って、藤田淑子さんやったのか・・・、リアルタイムで視聴していたはずなのに、すっかり忘れていた。
そういやよく通る、少年役らしい良い声だったなぁ、とぼんやり思い出したような・・・。
この作品は昭和38年(1963)の作品で、国産テレビアニメ第1号『鉄腕アトム』が正月から放送された年でもある。
この人形劇とほぼ同時期に『鉄人28号』、『エイトマン』が始まったような気がするが、横山光輝作品は『伊賀影』と『鉄人』という2大ヒット作で当時の我々の心をとらえていた。
藤田淑子さんというと、モノクロアニメ時代の『パピイ』と『遊星仮面』(ともに1966)のインパクト、それに『どろろ』の主題歌の印象があまりに強くて、このあたりがアニメ・デヴューだと思っていたが、実はそれ以前、『伊賀の影丸』で主役を務めていた、というのだ。しかも当時まだ中学1年生。
堀江美都子さんとか、中山千夏さんとかもそうだけど、この頃の十代前半でデヴューしている人達の、力量のすごさに驚かされる。
単に若くして(というかむしろ幼くして)デヴューしたというだけでなく、その時点で既にある種の花をもっている。
最近の声優さんと比べても、十代デヴューの人は確かに今の方が多いけど、モノが全然違う、という印象かな。
この記事の中に引用されている、森氏の評論が、あまりにピントがズレている、というのも、当時の「マンガを下に見ている」風潮とかも反映されていて、なかなか面白い資料かも知れない。