△絶滅寸前種報道のあり方について
京都で、絶滅寸前種の植物が80年ぶりに生育確認がされたニュウスなのだが、その報道について、ちょっと首をかしげる点があったので、それについて少し。まず元記事、京都新聞のウェブから。
絶滅寸前種、80年ぶり発見 左京 ユリ科の「ステゴビル」(京都新聞)
京都府レッドデータブックで「絶滅寸前種」とされる希少な植物「ステゴビル」をこのほど、京都植物同好会代表の田中徹さんが京都市左京区で発見した。
府内での生育確認は1931年以来、80年ぶりという。
ステゴビルはユリ科の多年草で日本特産。秋に花茎だけが伸び、1センチ足らずの白い小さな花をつける。
環境省のレッドデータブック(2000年刊行)でも絶滅危惧II類に分類され、近畿は滋賀県のみに生育が確認されていた。
この記事は普通の記事。
もっとも、ここでは引用しないけど、生育場所が文で少し簡単に記されている。
問題は、この記事を配信した次のYahooニュース。
絶滅寸前種、80年ぶり発見 左京 ユリ科の「ステゴビル」(Yahooニュースの記事)
文自体は上の京都新聞のウェブ記事とまったく同じ、つまり生育場所も同様なのだけれど、問題が一つある。
それはこちらのニュースでは、周辺地図が載せられている、という点である。
問題の地図では詳細なところまではわからないものの、これはあまりに無神経ではないだろうか。
1.絶滅寸前種の写真をアップ。
2.生育場所の記載。
3.地図の掲載。
この稀少種を採集にいってみろ、と言わんばかり。絶滅寸前種、種の保全、ということに関して、Yahooは著しく認識が浅い、と言われても仕方がないだろう。
たぶん、この地図というのは、記事に対して機械的に出てくるのかもしれないが、それにしてもあまりに無神経。
こういう希少種というのは、けっこうなコレクターがいる。
爬虫類とか、食虫植物とか、趣味で少しやっていたことがあるけど、その折々によく聞くのが、こういった稀少種や、絶滅危惧種なんかを「超レア」とか言って無断採集し、高値で売り歩く業者がいる、ということなのだ。
連中は中国やインドネシアの山奥、離島にまでいって無断採集し、密輸をして国内に入れる。
国産の希少種であれば、鵜の目鷹の目で情報を探している。
こんな都市部に近いところなどの情報を出せばどういうことになるか。
もともとの京都新聞のウェブでも採集場所が少し触れられていたけど、Yahooニュースの方は地図まで添付している、という点で悪質。あの地図では現地までいけないだろうとは思うけれど。
むしろ、はるかに購読者が多いであろうYahooニュースの方が配慮して、京都府、という情報以外を伏せるべきではなかったか。
なんでも詳細にやればいい、ってもんじゃない。
Yahooには生物関係の識者がいない、ということなんだろうけど、これはさすがにいかがなものか、と感じたので、記録しておく。