火星の月の下で

日記がわり。

○平清盛 第5回 海賊討伐

最後の海の風景が、いかにもな大河ドラマで、良いしめくくり。
美術、ロケ、特撮と、映像としては申し分ないね。
たぶん、現行のドラマでここまでできるのは、劇場用映画も含めてそう多くないだろう。
12世紀頃の海賊史についてはそれほど詳しいわけではないので、あれが史実としてどうなのか、というのは少しわからないけれど、海賊船の大きさ、島影から出て来るタイミング、打ち鳴らす鉦の声等々、古代のドラマとして見栄えがした。
毎回のことではあるけど、今回の宮城の中の暗さも、良い感じだ。
照明が貧弱だった時代、ということを考えれば、緊迫感とかけっこうな劇場効果だろう。
人物としては三上博史鳥羽上皇が良い味でございました。
もののけの血を語りながら、祖父白河法皇ほどの野太い押しの強さはなく、むしろ神経質で病的な繊細さなどがうかがい知れて、面白い。
反面、信西入道(高階通憲)がやや軽薄な印象かな、意図的にやってるのかもしれんけど。
源平合戦の観点からだと、信西入道ってけっこうな悪役なので、違う視点を入れて、ということなんかもしれない。
また、西行(佐藤義清)が美に殉じるがごとき「こころざし」を語る場面を挿入したりして、西行にどういうキャラクターを持たせようとしているのかがうかがえる。
それと平忠正の人物象の描き方が、注目かもしれない。
保元の乱で、鳥羽上皇側についた忠正を清盛が斬り、そしてそれに急かせられるような形で父・為義を義朝が斬る下り、というのは、保元の乱後の一大クライマックスなのだけど、平忠正を単なる武勲バカの悪役としてではなく、家盛に対する血族の親近感、それに対して清盛に対する畏れと不信感がないまぜになって微妙な心情になっているのを描こうとしていて、かなり好感が持てるな。
もちろん、今回も中井貴一の忠盛はすばらしかった。出番自体は少なかったけどね。
なんつうか目と所作でちゃんと芝居ができているので、忠盛が出てくるとドラマとしての安心感が相当ある。
シナリオに不満を感じることも多いけど、貴一さんがその不満をかなり消してくれている、とさえ感じる・・・というのは前回も書いたか。(^_^;
つうことで、今回の人物像としては、鳥羽上皇、忠正、そして忠盛、というあたりが良かった。
あと、平五郎。たぶん平頼盛のことだと思うけど、家盛が早く死ぬので、正室の血筋としてはここが忠盛の本家筋(前にも書いたけど清盛御落胤説にはワタクシは反対だけど、側室の出、というのは確実なので)になるだけでなく、清盛の子供達とも距離を置くので、その子孫が源平合戦の後まで生き残る血筋である。
「三番目と四番目はいるから」と言ってたけど、それぞれ経盛、教盛の事だろう、画面に少しだけ映ってたね。
経盛の子が、あの青葉の笛の敦盛ですな。
少しずつ、歴史の片鱗も見せてくれるので、だんだん良くなっている印象はある。
ただ次回の海賊王は、思いっきりフィクションがはさまれそうなので、不安ではあるが。(^_^;