火星の月の下で

日記がわり。

◎推理モノのトリック

ふざけんなって思った推理物のトリック
いや、面白いね、元ネタがわからんと言うか、知らんものもいくつかあるけど。
少年時代、ごたぶんにもれず、かなりの数の本格推理を読んだ。
と言っても現在主流というか、読書界においてすら中心になりつつある新本格とかっていう類ではなくて、いわゆる「Golden Twenties」黄金の二十年代である。
戦後の推理小説は系統分けが無意味なくらい多種多様に進化してしまったけど、大戦以前においてはまだ発展途上ということもあって、ある程度の傾向があり、分類して把握することが可能だった。
大きくわけて
1.黎明期(ポーからドイルまで)
2.ホームズのライバル達(19世紀末から20世紀初頭の短編全盛時代)
3.二十年代(黄金時代、後述)
4.ハードボイルド。
・・・に分類できる。3.と4.はかなり時期的に重なってるけど。
もちろんこれ以外の分類もできるし、所属を決めにくいモノもあるので、だいたいの目安なのは言うまでもない。
その中で二十年代、俗に言う「Golden Twenties」あるいは「Puzzler」の時代。
狭義にはクロフツからカーまでだが、長編時代の開闢ということもあって、1913年のベントリーから30年代のブッシュくらいまでを含むのが通例で、中でもクロフツ、クリスティ、ヴァン・ダイン、クイーン、カー、ブッシュの所謂「黄金の6人」は、たいそう人気もあったし、それこそ読みまくったものだった。もうかなり忘れているのもあるけど。(^_^;
この中でブッシュだけが本邦での翻訳が少なく*1、やや人気も低かったが、本国英国においてはそうとう知られた名手である。
したがって、この時代の洗礼というか、原則が頭の中に刻み込まれているので、ヴァン・ダインの「法則」やノックスの「十戒」から大きくはみ出した作品だと、現代作品の場合でもちょっと抵抗があったりもする。
もっとも邦語作品の場合は、本格推理、所謂パズラーとして読むことは滅多になくなってしまったので、トリックの良し悪しよりも、小説としてよくできているか、面白いかどうか、の方に主眼がいってはいるけれども。
推理小説についてはそういった過去があったりするので、こういうのを見ているとなかなか楽しい。追体験しようとはほとんど思わないが。(笑)
かなりバカバカしい、あるいは幼稚なものもあるけど*2、トリックとしての優秀性というより、それに現実性があるかどうか、ってことなんじゃないだろうか。
これがないと、中学生のアホな思いつき、になってしまうんだろうな。
ともかくこういうのは面白いですな。
金出して買った本が、たとえ安価な文庫本と言えども、あまりに幼稚だとけっこう腹立つかもしれんけど。(^_^;

*1:『完全殺人事件』と『100%アリバイ』の2つくらいしか翻訳されなかった時代がけっこう長かった。

*2:特に漫画作品の場合は、シメキリに追われて無理矢理ひねり出しているものもけっこうあるだろうから、長編小説仕立てのものと同列に見るのはかなり可哀想な気もする。