火星の月の下で

日記がわり。

○『真田丸』最終回

あくまで幸村の視点による大河ドラマとして、幸村の最後でお話としては終了。
従って、勝永と秀頼の自害、明石の行方不明等にはいっさい立ち入らず、それどころかその後の家康の死にすら立ち入らずに幕をしめた徹底ぶりはなかなか面白かった。
この辺、関ヶ原を報告だけで終わらせてしまったあたりと共通してて、大河ドラマとしては異例の展開手法だった。
適度にオリジナルを入れて、あるいはいくつかある学説の内から面白そうなのを引っ張ってきたりして、エンタメ大河としてはたぶん史上最高。
反面、喜劇作者による描写の軽さをどう受け止めるか。
ついったの真田丸タグとか見てると概ね好意的だし、終始基本姿勢が一貫していたので、エンタメ大河としては上出来かつ大成功だったと思う。
あとはこの軽さを好むか否か、かな。
私自身は面白かったし、こういうのも時流に乗ってて良いと思うのだが、じゃあ一番好きか、と言われるとやはりそこは簡単に首肯できない。
面白かったし、好きな大河の一つであることは間違いないけど。
「黙れ小童」「おのおのぬかりなく」等、効果的に使われていたため印象に残ったセリフも多くて、こういうのこそが流行語大賞たるべきたよなぁ、とも思わせてもらった。
考えてみると、昭和の昔、大河ドラマってこれくらいの影響力が普通にあって、家族で一緒に見たり、翌日の職場や学校で話題になったり、なんてこともそれほど珍しくなかった。
それがいつしか、女が主役になる大河が増えてきてしぼんでいき、それがただのドラマに定着していった平成の大河。もちろん名作もないわけではなかったが。
その意味で大河ドラマを見ている高揚感をかなり久し振りに感じたものだった。
上で「軽い」と少し否定的ともとられかねないことも書いたけど、決して否定的な感覚ではなく、十分に面白い4クールドラマだった。
オリジナル部分では、佐助ときりの行く末を描かず、いかにも猿飛佐助と霧隠才蔵のモデルになったかのような暗示に留めておいてくれたあたり、心憎い演出。
描かれなかったことで逆に「家康を鯛の天ぷらで毒殺したのは霧隠(きり)なんだろうなぁ」という妄想も起こさせてくれるし。
来年の『おんな城主』・・・たぶん見るだろうけど、予告を見る限りあんまり面白くなさそう。
こと大河に関しては、女が主役になるとつまらないものになるケースが多かったので、それに引っ張られているのかもしれないが。