火星の月の下で

日記がわり。

Shi-Noを読む

富士ミスの『Shi-No―黒き魂の少女』(上月雨音・著)を読んだ。
表紙がちょっとアレだけど、中のイラストは、適度にFRっぽくて良。(FRっぽさはマイナスに働くことも多いけどここでは良い方に来てると思う)
ムードはすごくあって、主人公の大学生の目から描かれる小学生・志乃ちゃんの、ブラックで神秘的な存在感はかなり強烈なんだけど、どうもそれが話の上に生きていないような気がする。シノプシスとしての活躍はそこそこあるにもかかわらず、どうも事件性の方に引っ張られすぎてる、っていう感じがしてしまうのだ。
「僕」の存在が大きすぎて、志乃ちゃんにスポットがあたりづらくなってようにも思うし、3人称文体ならそんなことも感じなかったのだろうけど、かなりの部分が1人称で占められてる、っていうことにも起因しているかもしれない。
もう少し手慣れてくると、この志乃ちゃんの独特の存在感がかなり生きてくるんじゃないかな、と思った。
とはいえ、かなり楽しめた。
この志乃ちゃんの、子供でもなく女性でもなく、人の心を全て透かしてしまうような怜悧な黒瞳、その魅力がかなりステキ。
途中、吸血鬼事件の犯人の殺人手法がかなりリアルに書かれてるので、萌え系の人にはちょっとつらいとは思うけど、志乃ちゃんの「黒萌え」な雰囲気はかなり好みです。志乃ちゃんは別に笑わなくてもいいと思ったりもした。(笑)
それと、舞台が大阪市内で、書いてる人も大阪出身らしいので、舞台設定のなじみの良さ、はかなり良い。
東国の人の作品に出てくるような、不自然な大阪弁キャラもいないしね。(大阪弁キャラは一人だけいるけど、それほど気にならない)
なんかどこかの感想系サイトで、続編がある、みたいな噂を読んだんだけど、出たらたぶん買って読みます。