火星の月の下で

日記がわり。

ラノベ魔法は魔法にあらず

隣人さんのところの魔法ものっぽいという記事を読んで、幻文畑として、少し。
ラノベの魔法、広義のラノベFate関連も含めて、魔法を欧州文学的な意味での「魔法」として消化している作品、ていうのはほとんど見たことない。
大半が、魔法=理屈のいらない(もしくは俺理論な)サイキックになってることが大半で、ああいうのは幻文畑からは魔法とは言わない。
そもそも魔法というとき、「妖術」と「呪術」*1は明確に区別されるべきだし、それをしないと泰西魔法文学はちゃんと読めない。
資料を調べて、というか適当に「自分読み」をやって、固有名詞のストックだけはバカみたいに増えて、そういったレトリックでいかにも本物っぽくやってはいても、項目や固有名詞を脈絡なく並べすぎてしまう。
そしてかえって「魔法」に対する、著述家としての無知が露見してしまっているわけだ。あ、これは例に挙げられている『禁書目録』とか、特定の小説をさしていっているわけではなく、魔法系ラノベの全体的傾向としてね。
そもそも訳語の不統一と言った問題もあるので、魔法関連に関して、ある状況転写、あるいは描写を行うのであれば、ラテン語、フランス語、ドイツ語、ロシア語の4言語による原書読解は必須で、日本語と、せいぜいできても英語しか読めないようでは、まずスタート段階で間違っていたりする。
したがって、ラノベに引用される魔法は、かっこつけのことば遊びである、と断定してもほぼいいのではないかと思う。もちろん、私の知らない、なにか本格的なものが出ているのかもしれないので「ほぼ」と書いておくが。
ただそういう本格的なものがでていたら、当然耳に入ってくるはずなんだよなぁ。とある筋から。
まぁ、日本人の場合、そういった宗教経験としての歴史がないから仕方ないんだけど、どうも最近、こけ脅し的なものがふえているのが少し鼻についている。
スレイヤーズ』みたいなコメディ色の強いもの、あるいは純然たるギャグ小説で処理されているものなら、さほど気にもとめないんだけどね。
まぁ、ラノベはキャラ小説なんで、大概の読者にはそんなことなんかどうでもいいとは思うけどね。
ワタクシもこういうテーマにでもならなければ、ほとんど意識せずに読んでるし。(^_^;
(追記)
「妖術」と「呪術」については、以前、魔女術について書いたときに少しだけ触れたので、もし興味のある人は、こちらもどうぞ。

*1:この訳語は初出時のものを踏襲しているため、違うイメージを与えかねないが、魔術、魔法科学、魔導、と言い換えてもいい。限定的ではあるが、錬金術とおきかえてもいいケースも多い。特に日本のラノベ、アニメ文化においては。