引退規定と竜王戦
プロ棋士の引退制度は、本人が自主的に引退、連盟退会、除名処分等の場合を除いて、順位戦を基準にしている。
最下位のC級2組から降級点3つを取るとフリークラスへ降級、そのフリークラスで規定以上の成績を収められなれば年齢、もしくはフリークラス滞在年数に応じて(フリークラス宣言、年齢等に応じて個人差あり)引退となる。
これに関しては極めて公平で、まだ30代であっても、あるいは1000勝以上上げてタイトルをとったことのある往年の大棋士であろうとも、そのときになれば引退である。
これは非常によくできた精度で、これでも完全とまではいいかめる面がひょっとしたらあるのかも知れないが、対象者たるプロ棋士が定めて運用している、ということを思うと公平な良い制度だと思う。
このシステムに文句をつけるつもりはないんだけど、いつもチラチラ頭をよぎるのが、タテマエだけとは言え、タイトル戦ランキングの最上位である竜王戦でも引退規定を作ろうと思えば作れるのかなぁ・・・ということ。
他の5つのタイトル戦と違い、竜王戦は順位戦と同様、組の昇級によって昇段の規定があるからで、だったら降段、もしくは引退規定も連動できるのではなかろうか、と思ってしまうのだ。
外部の人間がいろいろ妄想しているだけなので、余計なお世話きわまりないのだけど、引退の話を聞くと、そういたことに連想がいってしまうことがしばしばある。
もちろん現実としてはかなり難しい。
順位戦がリーグ戦であるのに対して、竜王戦はトーナメントである。
リーグ戦でも大人数になってくると、対戦相手の当たり外れの「運」はある程度できてくるが、トーナメントだともっと厳しいものになるだろう。少なくも公平感は著しくそがれる。
加えて、フリークラスは順位戦としてのリーグ戦を行わず、他棋戦の成績を反映した結果なので「順位戦だけで引退を決めている」わけではない。
従って竜王戦の結果を、昇段だけではなく降段にも適応させる、というのはあんまり理屈としての根拠はないのだけど、だったら昇段制度もひっこめてくれないかなぁ、という気もかなりする。
昇段規定に関しては、順位戦以外にも、勝数、タイトル奪取、特別表彰等であるわけなんだし。
上に書いたように外野のタワゴトだし、現行の制度が極めて優秀なので、いじる、もしくは追加する必要が、少なくとも現時点では感じられないのでどうでもいいことではあるんだけど、竜王戦の結果とか、引退棋士とかの話題が出てくると、ついついそんなことを考えてしまったりするのだ。