火星の月の下で

日記がわり。

決意の最終楽章・後編を読む

『ユーフォ』のおそらく完結編、「決意の最終楽章・後編」を買ってきて読む。
ひょっとしたら龍聖のサイドストーリィとか、短編集とかが出るかもしれないけど、大きな流れとしてはたぶんこれが完結編。
わしみたいな読書体力が落ちてる老人でも半日で一気に読めた。
やっぱ文章うまいわ、この人。
ジュヴナイルやサブカルの世界では、ストレスなく読ませる技術って簡単なように見えてなかなか難しく、物語の面白さが文章の未熟さで台無しにされている例なんかをしばしば見るけど、本シリーズに関しては、第一作から物語の面白さと文章のスムーズがきれいにリンクしてて、最後までそれは崩れなかった。
ということは、本質的にこの人の文章能力が高いんだろう。

物語の方は出たばっかしなんでネタバレになるかもしれないから、大会の結末とか久美子のその後とかはひかえておくが、そういった「結局どうなった?」と言うこと以上に、久美子を軸にした人間関係の面白さでぐいぐいひっぱっていかれる。
久石奏の慧眼というか鋭い視点、それにひきずられる久美子。
そして滝に対する疑念が生じてしまい、そのことから生じる麗奈との対立。
およそいままで出会った問題児たちとはまったく違う感性、哲学を秘めていた黒江真由。
意外な形で、しかし十分に納得できる登場の仕方をしてくれる、OG田中あすか
そういった人間模様の方が断然面白い。
特に、これまで鉄板に近かった久美子と麗奈の友情が対立へと変わっていく場面が、すばらしい緊張感を生んでくれていて、本作中の白眉と言ってもいいくらいじゃないか、という気がする。

第3期アニメ化も決まったみたいだし、楽しみでありますな。