火星の月の下で

日記がわり。

夜に想う

たまーに、街灯のついていない準森林みたいなところを夕方に通ることがあるんだが、夜の闇の深さ、怖さを少しだけ感じられる。
21世紀になっても、地方都市以下に行くとこういうことが体験できるのだ。
ましてや電気の街灯のなかった19世紀初頭、魔女伝説がいたるところに残るハルツの山中で、夜を高らかに歌い上げたノヴァーリスの先見性、詩魂には、ある種の感動が、瞑想的共感がある。
とあるロシアの文学者は「光あるところ、光の中を歩め」と言った。
だがノヴァーリスは違う。
その夜の闇の中に、夕星のまたたきすら届かぬところに、天の恩寵を見たのだ。
魔術的観念論というのは、こういうことを感情や知性を越えたところにあるもので悟らなければならないのだろう、ということを改めてかみしめてしまう。