火星の月の下で

日記がわり。

マリア 〜ブランデンブルグの真珠

ちょっと所要があり、豊中王国は蛍の里に行ってたのですが、そこの駅前書店で榛名しおり氏の「マリア 〜ブランデンブルグの真珠」講談社F文庫から改装新版で出てまして、ちょっとびっくりしました。
私、これ、ホワイトハート文庫の方で読んだんですよね。そっかー、榛名さんの本が、一般の歴史小説として出てるのかー、とちょっと感慨深いものがありました。
一応、ホワイトハート大賞の応募作で、デビュー作でもある本作ですが、まだイラスト担当の池上沙京氏が、池上明子名義だったりして、たった10年とはいえ、時の流れを感じてしまいます。
しかし、イラストといえば、一般書籍になってしまったせいか、F文庫の方は池上氏のイラストは全部バッサリカットで、まあ、一般文庫扱いになったみたいだから、仕方ないのかなぁ、とも思ったのですが、ちょっぴり残念だったりします。
本作「マリア」もそこそこ好きなのですが、私としては、一連のアレクサンドロス伝奇シリーズが好きなので、どっちかっていうと、そっちが注目してほしかったりしますけどね。
榛名さんの作品っていうのは、ヒロインが強姦されたり、拉致監禁されたり、マジで殺されかかったり、と、とんでもなく悲惨な目にあうんですが、このマリアも例外ではなく、父を殺した相手に、14歳の処女を散らされる、というとんでもない受難を被るんですが、まだ処女を奪った相手と結ばれるから救いはある方で、これがアレクサンドロス伝奇シリーズのヒロイン・サラとなると、名も知れぬ暴漢達に輪姦され、袋につめて殺されそうになります。
登場人物が男女を問わず、けっこう性的に踏み込んだ発言とか思想とかがあって、女の子向けライトノベルの枠をかなりはみ出してしまった、逆に言うと、それだからこそけっこう雄渾な歴史小説になっているわけで、そういったところが、人物を深く掘り込むことになっていたので、とっても面白かったし、好感持てる作家さんだなぁ、と思ってました。もっとも、ラノベの枠内にしては、というところは少しばかりありまして、やはり本格的な歴史小説とすると、文明史観や歴史哲学といったところに難はあるのですが、歴史上の素材と、オリジナルキャラとを配合しているので、それはそれでいいかな、とは思います。
どうも現在は家庭の中に入ってしまい、ほとんど引退状態になっている榛名さんですが、これを機に、また書き出していってくれればなぁ、と思わずにはいられません。つうか、ゲルマーニア伝奇、完成させてほしいんですけどねぇ。(^_^;