火星の月の下で

日記がわり。

エーデン・フォン・ホルヴァートとサッカー

W杯にあわせてか、Projekt Gutenbergのトップがサッカーと題されて、2人の詩人の作品の一部が載せられていた。
リンゲルナッツとエーデン・フォン・ホルヴァートで、リンゲルナッツの方は読んだ記憶があるようなないような・・・。
ホルヴァート(1901-1938)の方はハンガリー生まれで、主にウィーンで活躍した劇作家。
わずか37歳で没したが、台頭してくる全体主義の影を敏感に感じ取る作風で記憶されている。
とはいえ、それは研究者目線。ウィーンの中産階級に題材をとりながら、甘く切ないロマンスや市民悲劇を叙情的に歌っている、という印象の方が強い。
代表作としては『イタリアの夜』(Italienische Nacht)・・・これは政治劇、もしくは風刺劇、とされるけど、舞台はドイツの小都市のビアガーデン。庶民の生活がそれとなく描かれている。
『ウィーンの森の物語』(Geschichten aus dem Wiener Wald)、『カジミールとカロリーネ』(Kasimir und Karoline)、『フィガロの離婚』(Figaro läßt sich scheiden)・・・といったあたりは、民衆劇、パロディ劇で、政治風刺はあるものの、詩情の方が心をうつ。
トップに引用されていたのが『スポーツのメルヒェン』(Sportmärchen)から、『それはなんだ?』(Was ist das?)という、小散文。
ホルヴァートの散文の方はほとんど読んだことがなかったので、こういう作品があるとは知らなかった。
P.Gutenbergの方にもいくつか載っているので、物語作品を含め、もう少し読んでみたい。